第二十八話 どうしてこうなった?地獄のババ抜き!?
…どうしてこうなった。
俺たちは異世界組にルールを説明し、ババ抜きをしているはずだ…
なのに、なんでこうなった?
皆決してわきあいあいとしている雰囲気ではなく、むしろ殺伐としている。恐い。
無口で普段から自分の感情を表さない、移図利でさえもが殺気に似たようなものが出ている。
他の皆は言わずもがなだ。ちなみにカードを持てないフォルフは念力でカードを浮かせている。
…心当たりは一つしかない。やはり俊太が提示した、あの罰ゲームのせいだろう。
恨みがましい視線を俊太に向ける。が、当の本人は呻きながら倒れている。
「ほら、守の番だよ。早く!」
俺はフラルに急かされ、カードを引きつつ、何故こうなったかを思い出していた…
事の発端は、ゲームの前、俊太があることを言ったことから始まる。
「なあ、ババ抜きをただやるのもつまらないし、罰ゲームを入れようぜ!」
「罰ゲーム?それってどんな?」
光が尋ねる。
「ああ、こんなこともあろうかと、近くの店でまずいジュースを買ってきたんだ!まだおれは飲んでないから、どんな味がするかは分からんが。」
「まあ、良いんじゃないか?罰ゲームとしては定番過ぎる気がするが。」
俺が言う。
「まあ、それは良いだろ。もちろん負けた人が飲むんだ。それでいいな?」
「オッケー」
「もちろん!」
「おもしろくなってきたわね!」
「…負けない。」
「絶対に勝つ!」
「勝たなきゃ!」
『手加減はしない。魔法はカードを浮かす以外には使わんが。』
「よし!じゃあ、始め!」
その後、あっさり俊太が負けた。運が悪すぎる。
「くそ!負けた!」
「はい、ジュース。言いだしっぺなんだし、飲んでよね。」
光が俊太の分のコップにあのジュースを注いで、渡す。
「ちぇ、ジュースが無くなるまで続けるぞ。1.5リットルもあるから、そう簡単に終わると思うなよ!」
「いっき!いっき!」
「酒か!じゃあ、お望みどおり一気飲みしてやるぜ!俺に惚れんなよ!」
「なに言ってんだか…」
俊太はジュースを一気飲みした。が、様子がおかしい。
「おい!どうした!俊太!」
「…」
返事が無い。
「俊太?」
「……る」
「え?」
俊太が何か言ってるが、聞こえない。
「まずすぎる…」
ドサッ
「「「「「「『俊太!?』」」」」」」
俊太が倒れた!?
「…息はある。気絶してるだけ。」
「…やっぱりあのジュースが?」
『それしか考えられないだろう…』
「続ける?」
「こんな危険物、放っておけるか!」
「続けるしかない…これは俊太の遺言でもあるんだ…」
「…死んでない…」
うん、俊太のせいだ。100パーセント。
で、あれから接戦が続き、さっきの状況になった訳だ。
「よし!一抜け!」
「わたしも!」
「…助かった…」
ギーナ、光、移図離が抜けた。ちなみに俺はババを持っていない。
「よし!あがり!」
俺は助かった…
「じゃあ、残るは僕と…」
『俺か』
負けられない勝負、カードを引き合う二人、減っていく互いの手札。そして…
『勝った…勝った~~~!!』
「うわあああああ!嫌だああああああああ!!死にたくなああああああい!!!」
お互いにキャラを崩す。理由は別だが…
「黙れ。」
俺は火太郎のコップにジュースを注ぎ、一気に飲ませることで、黙らせた。
「う…うううう…」
ガクッ
火太郎が崩れ落ちる。
「さて、まだまだあるわね…」
まずいジュースはまだまだある。俺たちのババ抜きは、まだ始まったばかりだ…




