第二百七十話 心配を返せ?ずれてるけど最善!?
二話目。
「おいおい、そんなんで俺を倒せるとでも思ったか?甘いんだよ。」
男は余裕たっぷりで突進してきた俺の頭を掴む。あ、さっき頭から着地したんだった。結構痛い。
だが、俺の攻撃を突進だと思わせ、なおかつ油断させられたので上出来だ。
俺からの攻撃はこれからだ。
俺は男の服を掴む。
「悪あがきか?無駄だっての!」
いや、この一手は無駄ではない。むしろこれが本命の攻撃。
そろそろ効果が出てくるはずだ。
「………ん?なんか暑くなって…って、あっちいいいいいいいいいいいいい!!??」
男は俺の頭を放し、地面に転がって悶える。そう、これが俺の攻撃。
何をしたかというと、俺は男の服を掴むと同時に能力を使い、奴の服に”高熱を発生させる性質”をつけたのだ。
結果男は服の熱さに悶え、脱ごうとはしているものの、服が熱いせいで手に触れることができない。
この作戦は殴られたところが痛いだけでなく熱かったことから思いついた作戦だ。これでしばらくは時間が稼げるはずなんだが…
そのうち服を脱いで追ってくるだろう。だから俺は今のうちに逃げたいのだが…どの道を通ってきたか分からない。
しかし、迷っている暇は無いので、俺は危険を承知しつつも闇雲に道を進む。時に走り、時に歩いてただひたすら進む。
そして俺が行き着いた先は…
「行き止まり…だと…」
まさかの結果に、俺は愕然とした。
もう体力も大分使った。体力が無くなっていくと同時に意識がまた遠のいていた。そんな状況での行き止まりだ。
だが、まだ希望はある。さっきの男は来ていない。だから、奴に見つかる前に逃げ延びれば………
……………ん?来ない?
最近やたら不幸ないつもの俺だったら、このタイミングであの男が来るはずだ。
現に似たようなシチュエーションではそうなってたし、考えてる途中に、フラグだなコレ。とも思った。
なのに来ない。決して来て欲しいわけではないのだが、不気味だ。
一体この後にどんな不幸が来るのか?そう不安になりつつ、俺は来た道を戻って行った。
結局、帰るまでは何もありませんでしたとさ。俺の心配を返せ。
時は遡り、守が逃げている頃。とある五人は倒れている一人の半裸の男を前にしていた。
「はぁ…なんでコイツは服着てないんだ?ズボンは穿いてるのに。」
「知らないわよ!」
「…とりあえず、守への危機は去った。」
「やったのは俊太だけどね。さすがは能力。」
そう、その五人とは俊太、光、移図離、火太郎、太郎である。
「まあ、あの女はどこだ~とか言いながら半裸で走り回ってる奴がいたら反射的にぶちのめしちまうだろ。」
「普通は避けるだろ…」
そう、この五人(正確には俊太)は、今気絶して地面に転がっている男をワンパンでKOしたのである。
その理由が反射的、と言う点については太郎達同様に呆れを覚えるが。
「でも、この状況だったしね。仮に守のことだったら危ないにも程があるし。」
「…本当にね。」
「で、コイツどうする?」
「ん~…ここに放置するとやばそうだけど…でも、他の対処法が無いよね…守も捜さないといけないし…」
「放置でオーケー、何かあったらまたぶちのめす!それでいいだろ。」
「……なんか違う気がするけど、現状で言えばそれが最善に思えるからどうしようもない…」
「…皆俊太に毒されてる。」
移図離の呟きが耳に入った俊太以外の面々はげんなりとしつつも、また守を捜すのだった。
ちなみにこの時、守は何故あの男が来ないのか、不思議がっていた。




