第二百六十八話 こんな時に緊急事態発生?偶然の合流!?
二話目。
「守が…守が居ないの!」
「なに!?まさかアイツも太郎を捜しに…!」
「……なあ、事情が飲み込めないんだが…守が居なくなったことの何が悪いんだ?」
「守は昨日、魔力の使いすぎで倒れたって昨日メールで送ったよね!?」
昨日、四人で話し合い、光が太郎に守のことを連絡する事になっていた。
「あ、ああ…でもそれは、さっきのドッキリのための嘘だろ?」
「あれは本当なの!」
「な…!!」
「そして、今の守はその後遺症として、とてつもない脱力感、虚無感があるはずで、更に意識はおぼろげな筈なのよ!そんな状態で外になんて出たら…!」
「とにかく、ここに居る皆で守を捜すぞ!出来るだけ早く見つけるんだ!!」
「なら、グループを作らないで一人一人散らばって捜した方がいいわね。早く見つけるわよ!」
ギーナの声を待たずに、皆は駆け出して行った。
「太…郎……ど…こだ…」
町のとある場所。そこに、よろよろと歩きながら弱弱しい声で捜している者の名前を言いながら歩く少女(今は)がいた。
守だ。彼女(内面的には彼)は薄い意識の中、力も入らない状態だというのにも関わらず、必死に足を動かしていた。
今守の足を動かしているのは、罪悪感と謝りたいという気持ちだけだろう。それ以外のことは考える余裕が無い。
ドン
バタッ
「おいおい、痛いじゃないか…あ?」
守はそこに歩いていた誰かにぶつかり、力の入らないために持ちこたえる事ができずに倒れる。
「コイツはこの前の…よくも問答無用で殴り飛ばしてくれたもんだな…!!」
「お…前は…」
守がぶつかった男は、数日前に守にナンパし、殴り飛ばされた男だった。どうやらそのことを根に持っているようだ。
「……ん?どうした?何で立たないんだ?」
「お前…に……話す…筋合いは…無い…」
と言いつつ立ち上がろうとするが、なかなか立てない。
「コイツはちょうど良いな…これなら連れて行きやすい。さあ、この前の恨みを晴らさせて貰うぜ。」
「………」
男は守の腕を掴み、引きずっていく。
その場所は人気が無く、この時は二人以外は誰も通っていなかったため、誰も助けには来ない。
そのことを考えながら早くも勝利した気分になった男に、弱りきった守の殺気は届かなかった。
「見つかったか!?」
「いえ、こっちには居ない!」
守を捜していて偶然会った太郎と光は、お互いの情報を交換しようとした。だが、二人とも何も知らないのでは交換のしようが無い。
「そっちはどうだ!?」
俊太も合流する。
「…こっちにも居なかった。」
更に移図離も来た。
「あれ!?何で四人とも合流してるの!?」
遅れて火太郎も来た。
この五人、前もって話し合っていて合流したのではない。偶然集まったのだ。
「とにかく、この中で守を見た人は!?」
「俺は見てない!」
「私も!」
「俺もだ!」
「…私も。」
誰も守を見ていなかった。このまままた別れて捜すのかと思われたが、光の一言でその方針は変わる。
「そう言えば、この前存在自体がやたら分かり辛い道を見つけてたような…」
「そこだ!他のところは他の皆に捜してもらって、俺達はそこに行くとしよう!!」
太郎が言った意見を使い、五人は光の案内の下その道に行く事にした。
その道中は、五人にとってとても長いように感じられた。




