表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
274/630

第二百六十五話 突如訪れた混乱?守はちゃっかりしてた!?

三話目。

 

 ドサッ


「「「「守!?」」」」


 守は僕達の言葉を聞き終えると同時に倒れた。

 心当たりは無い。しかも前兆も無かった。だからこの事態は僕達四人、誰も予想できなかった。


「なんで…なんで倒れたんだ!?」


「それより救急車を!なにかの病気だったらまずい!!」


「…救急車の番号は…100…210…えっと…」


「えっと、その前に応急処置を…って、原因が分からないから何をすればいいのか分からない!」


 四人は絶賛混乱中だ。混乱して何がなんだか分からない。


「何?騒がしいから来たけど。」


 そんな情けない僕達の前にギーナが現れた。


「え?なんでギーナがここに?」


「あのねぇ…ここ、守の家の正面なんだけど。」


 ギーナがそう言いながら指を指す。そこには守の家が鎮座していた。


「守…逃げながらちゃっかり自分の家に向かってたんだ…」


「そう言えば守が居ないけど、どうしたの?帰ってきても無いし。」


 ギーナの言葉で僕達はハッとする。そうだった。こんなことをしてる場合じゃない。


「そ、それよりも守が突然倒れたんだ!ほらそこにって、ギーナあああああああああああ!?」


「ま、守ーーーーーーー!!」


「あーーーーーーーーー!!」


「……あ。」


「え?何?」


 倒れているはずの守を捜すと、とんでもない事が発覚した。

 だが、ギーナは全く分かっていない様子だ。


「…足元。」


 移図離が冷静に指摘する。


「え?足元?って、守!?ほ、本当にゴメン!!」


 やっと気付いたらしい…ギーナが守を踏んでいた事に。


「やけに地面が柔らかいとかこんなところに段差なんてあったっけとか思ってたけど、まさか踏んでるとは思ってなかった!!」


「そこまで気付いてたなら地面を見ようよ!!」


 何でそこまで気付いてたのに怪しむような素振りすら見せなかったんだろう?という疑問が浮かぶが、今はそれどころじゃないので置いておく。


「……あれ?何で守は動かないの?」


「突然倒れたの!で、私達が混乱してたところにギーナが来たの。」


「ええ!?原因は!?」


「分からねえんだ!」


「……?ちょっと待って………」


 ギーナが何かに気付いたようで、少しかがんで守の様子を見始めた。


「……これは…!」


「何か分かった!?」


「ええ、これは典型的な魔力切れね。魔力はある一定の量まで減ると、どの生き物も意識が保てなくなるんだけど、守の場合は深刻ね…」


「お、おい!守は助かるのか!?」


「命に別状は無いわ。でも、これだけ減ってると目が覚めるまで丸一日はかかるわね。」


「…守は死なないの?」


「死なないわ。」


 その一言で、僕達は安心し、同時にホッと息を吐く。その様子がなんとなくおかしくて、僕は笑った。

 その笑いは皆にも伝染し、僕達の笑い声は守の家の住人を呼び寄せ、守が倒れてるのになに笑ってるんだとみっちり叱られた。少しは僕達の言い分を聞いてからでも良かったと思う。まあ最終的には聞いてくれたけどさ。






 翌日、先生から高壁ルーマは風邪で休んだという連絡がされた(表向きには)。

 僕達四人と、密かに遠目で守を眺めていた男子達の空気は葬式のそれのようだった。

 また、本人は休んでいるのにもかかわらずラブレターは増殖し続けていた事を、なんとなく言っておく。朝見た時と帰る時を比べても増えてるなんて…

 その放課後。僕達は守の見舞いに来ていた。


「こんにちは~、守の見舞いに来ました~。」


 返事は無い。でも、親友六人の間では、一言断ればお互いの家に上がりこんでも良いとなってるから僕達は普通に上がりこむあたかも自分の家のように。

 …親友六人と言えば、今日も太郎が居ないな…何で誰もさそ…あ、忘れてるからか。なるほど。


「…い!だ…じょ…か!?」


 守の部屋から誰かの声が聞こえてくる。僕達はドアを開け…


 ガチャ


「なんで…なんで死んじまったんだよ!守!!」


 バタン


 ……まずは今見た光景を整理しよう。

 え~っと、守の前に泣きながらなんで死んだんだ発言をしてる太郎が居て…その周りには悲しそうな顔をしてる守の家に居候してる面々が居て…あれ?キャビと守の母さんは居なかったような…でも、なんか数人必死に笑いを堪えてたような…つまり…


「…意味不明。」


 移図離の一言は、僕達の気持ちを的確に指していた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ