第二百六十四話 全くの無意味?理解できない説明!?
二話目。
「ハァ…ハァ…こ、これでよかったの?」
「ああ…別にあいつらを全員倒さなきゃいけない理由も無かったしな…なら逃げるが勝ちだ。」
俺たち五人は逃げ延び、走ったせいで荒くなってしまった息を整えながら話していた。
「確かにそうだけどよ…俺達結局何もしてねえじゃねえか!俺達が来た意味は!?」
「………無かったな。」
「…骨折り損のくたびれもうけ。」
実際、俊太たちが来なくとも、俺は今の方法で逃げていただろう。移図離の一言は今の四人のことを如実に表していると言える。
「だから言っただろ?ついて来るなって。」
「言ってねえよ!」
「え?そうだっけ?」
「世の中知らないほうがいいことが多いとは言ってたけどね。」
「……まあ、あれだ。好奇心は猫をも殺すって奴だ。」
「あんな事をあのタイミングで言われたら誰だってついて行くよ!」
「…逆の立場になって考えて。」
逆の立場……ああ、なるほど。そりゃ誰でもついて行くな。
「サーセンした。」
「心がこもってない謝罪は謝罪じゃない!もっと心をこめて真剣に!」
「申し訳ありませんでした。もう二度とこのようなことがありませんようにこれからは充分に注意してなおかつ皆様の心配をかけぬように努力していく所存で」
「長いよ!しかも丁寧すぎて嫌味にしか思えないし!」
「どうすりゃいいんだよ!」
「…適度な丁寧さと長さを兼ね備え、心をこめた謝罪ならそれで良い。」
「……ゴメンな。」
思いっきり心を込めてこの四文字に凝縮した。
癪に障ることは無かったと言えば嘘になる。暗にとはいえ俺は忠告したが、こいつらはそれを無視したからな。こんな危険な事のために来て欲しくもなかった。
だが、それ以上に来てくれた時の嬉しさは大きかった。俺は前者の気持ちを押し殺し、後者の気持ちを前面に出して謝った。
「…短いけど、心がこもってるから合格。」
「僕達も悪かったよ。守の心配を無視して勝手について行ったりして。」
「一人で無茶しすぎよ。」
「まったくだな。」
四人の言葉が心に沁みる。
俺はムシャクシャしていた心が清められていくのを感じつつ……意識を手放した。
「……ん?ここはどこだ?」
俺は気が付くと真っ白な空間に居た。
世界の意思と話した場所にそっくりだ。というかそうなんだろう。
何で俺はこんなところに居るんだ…?俺は組織から逃げて…四人に謝って…倒れて…
…ん?何で倒れたんだ?全く分からない…
『気が付いたかね?』
考え事をしていたら、どこからか声が聞こえてきた。この声は世界の意思だ。
「ああ…俺は何でここに?」
『分からないのか?』
「さっぱり分からない。」
『簡単に言えば、魔力の使いすぎだな。』
「魔力の使いすぎ?」
そう言えば魔力は無限じゃないって聞いてた気が…じゃあ、俺の魔力は尽きたのか?
『尽きてはいない。固体や種族ごとに違いはあるが、魔力がある一定の量まで減ると、生物は自らの意識を保てなくなるようになっている。』
「で、俺の魔力はその一定の量まで減ったと。」
思えば、最近は魔力を使いすぎていた。
宿題然り、今回の事然り。宿題の方はギーナからの忠告で休み休み魔法を使っていたんだが…それでも結構使ってたみたいだな。
『そうだ。だが、君の場合はその量から更に少ない量になってしまっている。
意識の回復までならともかく、魔力が完全に回復するのはまだまだ先になりそうだな。特にこの魔力が少ない世界では。』
「この世界だと魔力の回復が遅いのか?」
『その通り。理由は魔法が使われないため放出される魔力が少なく、結果空気中の魔力が少なくなり回復のソースが減ってしまうのが原因だが…理解できたか?』
「……全く出来ない。」
『まあ、それならそれでいい。理解する必要は無いからな。』
「…質問だが、魔力を完全に使い切るとどうなるんだ?」
『……今の君は聞かないほうが良い。だが、魔力が少なくなった場合、生物の種類によって違うが…人間は虚無感、力が入らない、意識が薄くなる、などがある。』
「理由は…聞かなくていいか。多分分からない…って、何で今の俺にはその症状が無いんだ?」
『精神体だからだ。』
「……分かり辛くて簡潔な説明どうも。」
『さて、僕はそろそろ行くとしよう。』
「え?何でここに来た?」
『おっとそうだった。君に言う事がある。』
「なんだ?」
『今更だが、特訓は解禁だ。』
「……そんだけ?」
『それだけだ。ではな。』
そこから目覚めるまでの間、世界の意思の声が聞こえることは無かった。




