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第二百六十話 そんな本は読めない?気持ち悪すぎる!?

二話目。

くそっ!ゲーム機の充電が無くなって出来なかった!!

…そろそろ充電が終わるかな?

「ものすごくくさい断り方だったね。」

 

「ああ。ここで大爆笑したい衝動がこみ上げてくるぜ。」

 

「そんなことしたら図書館から追い出されるけどね。」

 

「…もっといいフリ方の勉強をして。」

 

 移図離が取り出したのは「これで未練も恨みも無い!どんなシチュエーションでもすっきりフれる振り方!!女性篇」という本。どうやら図書館の本らしく、本には図書館の本には全て貼られているシールが貼ってあった。

 

「そんな本読めるか。そんな暇があるなら例の本を少しでも読み進める。」

 

 あの本は読んでしまったら負けだろう。あの本を手に取った時は、俺は男に戻るのを諦めた時に違いない。

 …いっそギーナやフラル達に読ませたほうが良いかも知れないな。あいつら顔は良いし。

 この後の昼休みは特に何事も無く過ぎ去った。

 

 

 

 

 

 放課後。下駄箱にまたラブレターが入っていた。三通あったが、内容を見てみると待ち合わせの時間が全て重複し、なおかつ場所が一つたりとも被らなかったので、行くのは不可能と判断。よってラブレターは下駄箱に戻し、放置した。どうせフる告白だ。

 で、今は五人で帰っている。あるんじゃないかとは思っていたが、やはりストーカーのような気配があった。

 

「…………」

 

「どうしたの守?さっきから表情が強張ってるけど。」

 

「ちょっとな。」

 

 警戒しながら歩くのは異世界で出歩いている時に慣れた。気を抜いてる時に魔物にでもあったら大変だからな。

 あと、密かに世界の歪みの自然発生も警戒している。あれだけ吸い込まれれば警戒しなければと思うだろう。

 

「さっきから何を警戒してんだ?ここは安全な現代だ。魔物が出る訳じゃねえんだから、そんなに警戒しなくても良いんだぞ?」

 

「そんなことは分かってる…そうだ、少し用事を思い出した。ちょっと学校に戻るから先に帰っててくれ。」

 

「守!?」

 

 俺は皆の返事も聞かずに走り出した。

 

 

 

 

 

 

「居るんだろ、出て来いよ。」

 

 俺は人気の無い公園で、公衆トイレに向かって少し大きめな声で言う。

 だが、俺は公衆トイレに話しかけたのではない。

 

「………ばれていたか。」

 

 そう。俺は公衆トイレの向こう側に居るストーカーに話しかけたのだ。

 皆と別れたのは、このストーカーをおびき出すため。皆がいる状態では出てこないだろうからな。

 男は顔をサングラスやマスクで隠しているため、顔は分からない。しかも、帽子もつけているという徹底ぶり。

 おそらくあのマスクや帽子の中は汗まみれだろう。八月下旬にその格好は暑過ぎる。

 

「バレバレだ。お前は結構前からストーカーをしてたよな。今日の朝も。」

 

「ほう、そこまでばれていたか…」

 

「で、何か用事があったが、話しかけるのが恥ずかしかったって言うんならそっちの話を聞こう。ストーカーの件も水に流す。」

 

「もしそうでなかったら?」

 

「ボコる。」

 

「……簡潔な回答ありがとう。」

 

「で、答えは?」

 

「用事なんて無い。ただストーカーをするのが楽しかっただけだ。」

 

 …人には色々な趣味があることは知っていたが、こんなに迷惑な趣味があるとは知らなかった。

 

「相手は誰でも良かったのか?」

 

 迷惑かつ気持ち悪い趣味にドン引きしつつも、訊く。

 

「いや、君だけだ。君だけが俺の頭から離れない…」

 

 こういう台詞を、恋人認定している奴ならともかく、知らない上に怪しい人物に言われると気持ち悪いだけなんだなと思いながら、あまりの気持ち悪さに後ずさろうとする足を引きとめ、顔が引きつりそうになるのをこらえる。コイツには微塵も弱みを見せたくない。もし間違っても弱みを見せたら後悔する気がする。

 

「……今のお前、相当に気持ち悪いぞ。」

 

「ご忠告ありがとう…そしてそれは俺にとってはご褒美にしかならな」

「うわあああああっ!!」

 

 俺は気が付くとストーカーが喋りきる前に駆け出し、ストーカーに魔法で強化した拳を見舞っていた。

 その後は先の宣言通りひたすらボコり、ストーカーの顔の原型が分からなくなるくらいになってからようやく我に返った。

 だが、後悔するどころか、俺の心はあの青空のように晴れ晴れとしていた…って、雲ってやがる。

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