第二百五十九話 自覚は無かった?差出人が無い手紙!?
一話目。
今日発売の有名なゲームを買いに行ってました。
やはりゲームは面白い…!
「おい!何で皆走らないんだよ!俺一人だけ走って馬鹿みたいじゃねーか!!」
「…俊太は馬鹿。」
「言ってやるなよ。確かに周知の事実ではあるけど、本人は気付いてないんだからな。」
「お、お前等…俺を馬鹿だと思ってたのか?」
「「「「うん。」」」」
「ちっくしょおおおおおおおおおおお!!!」
俊太は一足先に校舎へと走り去っていった。
「……むしろ、馬鹿だと思われてないと思ってたのか?」
「まあ、馬鹿だから。」
「そろそろ俊太がかわいそうになってきたしもう止めようよ…」
火太郎に言われなくとも、この話題は終わりを告げていただろう。
何故なら、俺の下駄箱を見ると…
「……これは…アレだよな。手紙だよな。」
封筒が遭った。言っておくが、これは誤字ではない。
「どこの世界にただの手紙を下駄箱に入れる人が居るの?ラブレターに決まってるじゃない。」
「い、いや、まだだ。まだ中身を見ない分には…」
と言いながら、他の人の邪魔になることを承知の上で封筒を開ける。中には一枚の紙があった。当然その紙はお札ではない。
お札でなかった事に少し安心と落胆を覚えつつ、紙に書いてある文を読む。
「えっと、なになに…
拝啓、高壁ルーマ様
昼休みに学校の図書館に来てください。
…ん?これだけか?差出人も無い。」
「…完全にラブレター。告白する気満々。」
「なんで屋上じゃないんだか…」
「屋上は立ち入り禁止だったからじゃない?」
「分かってるけど…でもやっぱりな~って思うじゃない?」
「それは分かるけど…で、守。どうするの?」
「もちろん、行かない!」
「ちょっ!?さすがに行ってあげようよ!?」
「だって野郎と付き合う気はこれっぽっちも無いし、フラれたらショックだろ?」
「でも、昼休みに待ちぼうけはかわいそうでしょ…弁当も食べられないし。それに、ひょっとしたら告白じゃなくて純粋な用事かも…」
「だとしても、差出人を書かないような奴の用事ってのは聞きたくないな。怪しいし。」
「…とりあえず、行くだけ行ってみるべきだと思う。」
「しょうがないな…じゃあ昼休み、行ってみるぞ。」
「気をつけてね。」
「頑張れ。」
「…後ろから刺されないように。」
「移図離だけ怖えよ!?」
かくして、俺は昼休みの呼び出しに応じる事となった。何か不安だ…
昼休み。俺は弁当も食わずに図書館に来た。
「お~い!高壁さ~ん!」
図書館だと言うのに、大声を出して呼ばれた。
その人物は、やはりと言うべきか男で、図書館にある机に向かって椅子に座り、本を持っていた。どうやら本を読みつつ待っていたらしい。
少なくとも俺のクラスメイトではないようで、見たこともない男だった。
「貴方ですか?あの手紙を書いたのは。」
「そう。それで、ここに呼び出した理由なんだけど…貴女に一目惚れしました。僕と付き合ってください!」
「ごめんなさい。お断りします。」
やっぱり告白だったか…当然、俺は断った。
「何故ですか!」
何故…か。私も長らく忘れていたよ。じゃない、考えてくるの忘れてた。
「何故…ですか。私は人見知りなので、知りもしない人と付き合うのは難しいんです。今も少し緊張してますし。」
「じゃあ友達からでも!」
「……付き合うことを前提にするなら、それもお断りです。
ですが…私でなくとも、貴方にはいずれ良い出会いがあります。少なくとも、それは今じゃありません。私は貴方の運命の人じゃないから。」
…即興で考えたにしては良い断り方ができたな。まあ、どっかで見たような言葉がちらほら見えなくも無いが。
「………これでは無理そうですね。でも、僕は諦めません。いつかきっと貴女を振り向かせて見せます!」
と、捨て台詞のように言い、その男は去って行った。
………なんか、不完全燃焼になったな。アイツ結局諦めてねえし。
「プッ…私は貴女の運命の人じゃありませんから、だって…フフッ。」
「おい。聞こえてんぞ。俺だって今更ながら恥ずかしくなってきたんだから止めてくれ。もう出て来ていいぞ。」
俺の言葉を聞いた四人は、本棚の陰から出てくる。
そう。この四人はあのやり取りを聞いていたのだ。授業が終わった直後なら逃れる術はあるまい。
さて、四人からは何を言われることやら。




