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第二百五十話 地獄から開放された?前科があったのに疑えなかった!?

四話目。

そろそろ現実逃避に終止符を打たねばならない気がする…

「前の高校はどこですか!?」


「南凧野…じゃなくて、南田湖野みなみたこの高校です!」


「彼氏はいますか!?」


「いてたまるか…じゃなくて、いません!」


「俺と付き合ってください!」


「ごめんなさい!」


 俺はクラスの連中から繰り出される質問をちぎっては投げ、ちぎっては投げ…じゃなくて、ひたすら答えていった。

 そしてようやく質問が止み、一息ついたところで…


「あの、この前図書館にいましたよね?」


 友原が来た。そう、俺は数日前、この姿でコイツと会っている。


「ええ、そうですが…」


「えっと…もしかして本が好きなんですか?もしそうなら、今度一緒にあの図書館に行きませんか?」


「…考えて見ます。」


 考えてみるだけだ。本当に行く気は無い。

 さて、質問地獄からは開放されたし、さっさと行くか。さっきから教室の入り口でず~っと待ってるやつが約四名いるからな。






「守、アンタはいつから転校生になったの?いつまでも教室に来ないからどうしたんだろって皆心配したたよ?」


 四人を代表して(?)光が訊いてくる。


「校長の厚意でな。出席にしつつ、生徒間では転校生と言う事にしてくれた。あと、心配をかけた件については悪かった。」


「ああ、別にいいぞ?そこまで心配はしてなかったし。」


「してないんかい!」


「…守が居なくなるのはいつものこと。」


「それを言われると痛いな。」


 実際、あの夏休みだけで何回皆の前から消えたのかは分からない。

 ほぼ全て俺のせいじゃないけどな。


「何でこんな時間になっても居るんですか?他の生徒はさっさと帰ったと言うのに…」


 廊下で歩きながら四人と話していると、後ろから歩いてきた生徒会長から話しかけられる。


「ちょっと質問攻めに遭ってまして…」


「ああ、さっき転校生って言ってましたね。ルーマさん…でしたよね?災難でしたね。」


「そうですね、アレは本当に疲れます。」


 生徒会長の口調は丁寧語がデフォのため、今の俺と被る。きっと声を消して文字だけにしたらややこしいだろう。この会話なら内容から分かるかもしれないが。


「で、本当にその髪は染めてないんですよね?」


 まだ言うか。


「染めてないです。神様のば…じゃなくて、生まれつきです。名前から分かるかもしれませんが、ハーフですから。」


 危うく神様の罰とか言うところだった…

 言っても信じないか何かの比喩だと思われるだけだろうが。

 あと、名前だが、実はこの髪のことも考えての名前だ。名字と組み合わせれば完璧にハーフに思える。その為にわざわざあの名前を使ったのだ。


「そうですか…ならいいんですが。」


 この設定なら生徒会長も納得してくれたらしい。


「うまい設定だな。」


「ああ。」


「よくもまあそんな嘘を思いつくわね…守の癖に。」


「…守の頭は必死な時のみ速くて良質な回転をする。」


 お前等…ボソボソとだがよく言うな、本人の前で。

 あと移図離、せめて機転が利くと言ってくれ。その言い方だと普段バカみたいじゃないか。


「じゃあ、急いで帰るので…」


「分かりました。さようなら。」


 そう言って生徒会長と別れた。






 俺は内心、自分のうかつさを嘆いていた。前科があるのに、何故その可能性を疑わなかったのか。


「待ってよ守~!」


「おいてかないで~!」


 俺たち五人は校門を出ようとしていた。そこで呼び止められたのだ。”学校から”出てきた異世界人十数名に。


「お前等…何で学校から出て来るんだ?」


「え?そりゃ、学校にいたからに決まってるでしょ。」


「何で学校に居るんだよ!」


「え?そりゃ、守が通う学校に興味がわいたから守をつけてきて学校に侵入したからでしょ。」


「…許可は?」


「要るの?」


「要るわ!」


 ギーナが何でそんなことを聞くの?という様子で答える。

 全く、さっきうろついてた生徒会長に見つかったら…


「ちょっと貴女方!この高校の生徒じゃないですよね!?なんで校舎内に居るんですか!!」


 …見つかっちゃったよ。

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