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第二百四十五話 これが阿鼻叫喚?誰かアレなんとかしてくれ!?

二話目?で、あっているはず…

今日はこれで終わりになりそうです。

 

 ピンポーン


 後者でありますように後者でありますように…

 …ん?誰か来たな。


「守!お前は完全に包囲されている!大人しく出て来い!」


「そうだ!君の親友も泣いているぞ!」


「…わーん。」


 …あいつらか。

 …そうだ。ちょっと驚かせてやろう。

 俺は壁をすり抜けて廊下に出て、閉まった玄関のドアをすり抜け、顔だけ出し、


「う~ら~め~し~や~」


 と、出来るだけ恐ろしい顔をして言って出迎える。


「キャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!???」


「うわあああああああああああああああああああああ!!??」


「ぎゃああああああああああああああああああああああ!!??」


「えええええええええええええええええええええええええ!!??」


「……すごい…」


 阿鼻叫喚とはこの事を言うのか。

 光、太郎、俊太、火太郎の順に叫ぶ。特に光がうるさかった。

 あと、なんで一斉に叫ばなかったかと言うと、フリーズした後立ち直るのに個人差があったためである。

 しかし移図離、ちょっとは驚いたっていいじゃないか。なんで目がそんなにきらきら光ってるんだ?お空の星じゃあるまいし。


「……」


 光は思いっきり叫んだ後、突然力が抜けたように倒れた。そう言えば光はお化け嫌いだったっけな。

 だからと言って失神するとは思わなかったが。


「ま、ま、ま、まも、まも…」


 太郎は正常に喋る事ができなくなっている。


「……」


 俊太は叫んだままの姿勢で固まっている。頬に手を当てているどっかの名画をほうふつとさせるな。


「ばあちゃん、じいちゃん、向こうに守も行くみたいだ。なんか性別が変わっちゃってるけど、仲良くしてくれ…」


 太郎は良く分からんうわ言を呟いていた。


「……これが…幽霊…!」


 移図離はというとガッツポーズをしつつ俺を観察していた。

 ものすごく嬉しそうだ。こんなに嬉しそうなのは以前夜の学校に行って幽霊らしきものを見たとき以来か。あの時は俊太と太郎が光と移図離を抱えて思いっきり走ったっけな。あれから二ヶ月か…って、そんなに経ってないな。


「お、おかしい…皆がおかしい!特に移図離が!!」


 キャビが後ろで何か言っている。確かにいつもと比べれば一番おかしいのは移図離と言えなくもないが…

 と思って後ろを振り返ってみたらいつのまにか玄関の扉が開いていた。さっき皆が叫んだから何事かと思ってきたのだろう。


「…守、なにしたの?」


「からかってみたらこんな事になった。結果については俺も驚いている。」


「…守、今日は飯抜きだね。」


「それで済むなら。それにしてくれ。」


 今の俺は腹が減らないし、そもそもすり抜けるから何も食えないので、実質罰が無いようなものだが、皆には言わないでおいた。








「…そんな事があったのか。」


 太郎と火太郎がある程度落ち着いたところで、昨日あった事を説明した。それに伴って令音の事も説明する事になり、先日の誤解も解けた。


「でもあのイタズラはないだろ。まだ光は気絶してうなされてるし、俊太も玄関先で固まったままだし。」


 その言葉で、ちらりと太郎に運ばれた光を見てみる。

 いまだ目は閉じたままで、ほぼ絶え間なくうなされている。


「いや、俺もまさかここまで大事になるとは思ってなかったんだ…」


 これは本当だ。俺からすれば変な訪ね方をした五人へのちょっとした意趣返しのつもりだったのだが、結果はごらんの有様。

 本当に悪かったと思っているし、反省もしている。

 …次に生かせるかどうかは怪しいがな。


「で、アレは何とかならないのか?普段と違いすぎて最早怖いんだが。」


「ああ、アレは俺も怖くなってきた。」


「まったくだよ…」


 三人の視線の先にあるものは、目が未だにきらきらと光っている移図離。普段ならどんな事があろうとこんな目はしない。

 寡黙なイメージとのギャップのせいで、俺たち三人は怖くなってきてしまった。誰かアレなんとかしてくれ。


「あいつらをどうにかしてくれ。元凶。」


「無理!!」


 太郎の質問にビシッ!と答えた俺に、太郎のドロップキックが飛んできた。

 だが、その攻撃は避けるまでも無くすり抜け、太郎はそのまま壁に突っ込んだ。何やってんだか。

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