第二百四十三話 おれはしょうきにもどった?どうすりゃいいんだこれ!?
三話目。
そろそろテストが近いので、近々執筆を一旦止めるかもしれません。
ご了承下さい。
「冷たい!?」
タカミが令音の頭に袋に入った氷を当てたおかげで、令音は正気に戻った。
「あれ?何でタカミが…」
「あんたが部屋で真っ赤になって倒れてたから、風邪かと思って持ってきたのよ。で、具合はどう?」
「…そもそも風邪じゃないから大丈夫なの。」
「え?じゃあ何で真っ赤に…」
タカミの発言の途中で、令音はあの本をタカミの目の前に持っていく。
「………」
「この本と守。これで分かるよね?」
「…ドンマイ、令音。そして守!何やってるのよ!」
何やってるって言われても…無理やり読まされたのは俺なんだけどな。
まあ、悪かったよ令音。ごめんな。
(大丈夫なの。それより、守はどうなの?)
俺は大丈夫だ。
「今、守から謝ってもらったからもういいの。」
「そ、そう…じゃあ、私はこれで。」
毒気を抜かれたようなタカミは、ばつの悪い表情を浮かべた後に部屋から出て行った。
令音もキャビみたいなタイプなのか?子供っぽいとかそう言う意味ではなく。
その後、タカミと入れ替わりでキャビが入ってきて夕食であることを伝えに来た。
キャビみたいだとか考えていたら本人が来たので驚いたのは内緒だ。あ、令音にはばれてるか。
(噂をすれば影が差すのかな~…)
翌日。俺たちは朝から昨日来た寺に来ていた。
「よく来ましたね…呼び出したのは私ですが。」
坊さんは既に準備を終えていたらしく、境内には何か良く分からない物が規則正しく散乱していた。
規則正しいなら散乱しているなんて言わないが、パッと見散乱しているようにしか見えない。配置されている物に一貫性が無いからな。よく見て規則正しく並んでいると分かるくらいだ。
配置されている物はブラシや箒、その他もろもろの物が、中心の二つの円盤のような石を幾つもの多角形で囲むように置かれていた。
「では、これから術をかけますので、あの円盤のような石の右のほうに立っててください。」
「分かったの。」
令音は言われた通りに石の上に立つ。
「では、始めます。」
と言うと、坊さんはなにやらぶつぶつと唱え始めた。考えるまでも無く、詠唱的な何かだろう。
しばらく坊さんが唱えていると、あたりの物が光り始め、時間が経つごとにどんどんその光は強くなっていった。
坊さんが静かに詠唱的な何かを止める。
すると、俺の視点が突然変わった。能力を使って世界を移動した時のように。
光は収まる。隣を見ると、令音と思わしき一人の女子が。そしてその反対側には……倒れている俺が。
「……あ!間違いなく私の体なの!守…守が二人!?」
「…何で俺が倒れてるんだ?」
「………しまった…まさか魂を肉体から抜き出す術を使ったら二人も出てくるとは…想定では一人だけだったのに…」
「え?というと…まさか坊さんの術で令音だけでなく俺まで出てきたと?」
「そうなりますね…」
「じゃあ、あの体は…」
「はい。今は魂が入っていないただの抜け殻です。」
………俺、どうなっちゃうんだ?
「あ、そう不安にならなくても戻れますよ?では、元に戻すので明日まで…」
「待たなきゃいけないんかい!」
返せ!戻れるって言われた時の一瞬の安心を返せ!
「術に使うものが違いますからね…またそれの準備をしなければ。」
「……一昨日令音がしたように、今俺が元の体に入り込むことは」
「出来ませんね。仮のものとはいえ肉体を持っている状態ですから。」
………なんだろうな。仮のものとはいえ一応体はあるのに、元の体が離れていると思うと不安になってくる。
何か物を無くした時の様な不安感がもっと強くなったようなものだ。
「あ、物を持とうとしても所詮は仮の肉体なのですり抜けます。なので、注意してください。地面はすり抜けないようにはしてますが。」
となるとあれか。今日一日は宿題や本に触れることすら出来ないと。
…宿題、終わるかな…あ、あの本も読まないと始業式に休む事に…ならないか。どうせ父さんが脅すに決まっている。
となると、俺は女になったまま登校しなければならないわけだ。
…もう異世界に逃げようかな。あ、父さんもあの障壁持ってるんだった。逃げられない。どうすりゃいいんだ?これ。




