第二百三十九話 それは無理だ?何だこの親子!?
二話目。
「…という訳なの。」
令音の説明が終わる。父さんと母さんは俺が異世界から帰ってきたときのように終始黙って聞いていた。
今の説明で、俺の体を令音が動かしている事。俺の意思は体が動かせないだけでちゃんとあることを説明した。
「………守…聞こえてるんだよな?」
ああ、聞こえてるよ。って伝えてくれ。
「聞こえてる、だって。」
「なら、一つ守に言いたい事がある。」
…なんだ?
「なんだ?だって。」
「一々言わなくてもいい。
その状態でも宿題はちゃんと終わらせろよ。無論、令音の手を借りるのは無しだが。」
…分かった…って、無理だろ!思考とかが筒抜けなんだし!おかげで令音が問題を解いたら俺にも分かっちまうわ!!
「思考が筒抜けになってるから無理、だって。」
「…なら夏休みが終わるまでにその状態を何とかすればいい。
断っておくが、令音を追い出せと言ってるんじゃない。自分の体を自分で動かせるようにしろと言う事だ。」
…それでもやっぱり令音の意思が筒抜けだから、俺一人ってのは無理な気が…
「無理だって。」
おい!略しすぎだろ!意味が全く違うものになってんぞ!!
「どの道なんとかしないといけないんだからなんとかしろ!」
そりゃそうだけどさ!
「…守、あんたは疫病神にでも憑かれてるのかい?昨日は神様からの罰を受けたと思ったら、今度は憑依されるなんて…」
現在進行で幽霊に取り付かれてるな。
ん?幽霊と人魂って同じにしていいのか?
「神様の罰って…何をしたらそんな事にってええ!?神様っているの!?」
いなきゃ俺はこんな姿になんてなってない。
全く、なんで俺がこんな銀髪美少女になんてならなきゃいけなかったんだ…俺は男だ…
「ええ!?男!?」
……あ。思考は令音に筒抜けだったの忘れてた。
「訳が分からない…」
…こういう時、思考が筒抜けって便利だな。回想しただけで相手に伝わるんだし。しかもそれが嘘じゃない事も教えられる。
という訳で、今から回想を始める。信じられない事の連続だが、まあなんとか信じてくれ。
「え、ええ…」
「どうしたんだ?」
「さあ…?」
…そうだった。この会話は父さん達には聞こえないんだった。まずそのことを言ってくれ。令音。
「…今から回想をして私に教えてくれるっていう会話をしてたの。」
「ああ、なるほどな。ちゃんと教えてやれよ、守。」
言われるまでもない。
俺は夏休みが始まったあたりからの回想を始めた。何でかって言うとここからじゃないと分からないと思った。
だって、突然異世界に行って帰る為に女になろうとしたら天罰を受けました。とだけ言っても意味分からんしな。
(…もう今ので私の中の常識と言う常識が跡形も無く消えた気がするよ…)
…まあ、いきなりこんな話を聞かされたらな…むしろ発狂しなかっただけまだ良かったかもしれない。
この話の前に死んで人魂になった経験が生きたか。本人は死んでるけど。
「…で、私はどうすればいいの?この体から出る方法も分からないし、そもそもとりついた事自体偶然だし…」
それなんだよな…どうやって令音を俺の体から出すのか。それが一番の問題だ。
本人も、当然俺も知らない方法を誰が…
「…そうだ、俺の知り合いの坊さんに訊いてみよう。陰陽師紛いの事もしてたからきっと力になってくれる。」
父さんが手がかりを持っていた。
そうか。つまり専門家に聞けということか。俺もその坊さんは知っている。お盆の時は毎回父さんと一緒に挨拶をしていたものだ。
……って、陰陽師紛いの事をしてたなんて初耳だぞ!?マジで!?
「マジだ。今の守は坊さんが陰陽師もどきで驚いていると言ったところか?」
「あ…あってる…」
父さんはエスパーなのか!?何でばれた!
…あ、親だからか。父さんは次に「何年お前の親をしていると思っているんだ?守。」と言う。
「何年お前の親をしていると思ってるんだ?守。」
「……あってる…何なのこの親子…」
何なんだこの茶番は。
(私が聞きたい。)
だろうな。




