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第二百三十六話 肝が据わりすぎ?なんとなく不覚!?

二話目。

 人魂に近づいていくと、人魂の方からこちらに来た。


『あの、私に何か?』


「喋った!?」


 これには驚いた。人魂って喋れたのか…


『え?喋ったって…何でそんな事で驚くの?』


 ……ああ、人魂の中では喋れるのは常識だったのか。


「いや、なんでもない。あと、何でこんなところにいるんだ?」


 人魂が墓場にいるのはイメージ通りとはいえ、普通はありえないものだ。

 少なくとも、今を除いた俺の人生の中ではそんな事は無かった。


『…それが分からないの。ただ、気が付いたらここにいて…心当たりも無いの。』


 分からない?気が付いたらここにいた?心当たりが無い?

 …今の自分の姿を見て言っているのだろうか。


「…ここに来る前の記憶は?」


『え?え~っと…確か、いつも通りに家を出て、学校に向かってる途中に道路を渡ろうとして…あれ?ここからは思い出せない…』


 …これはあれですか。死んだことに気付いてないパターンですか。

 こういう時はどうすればいいんだ?死んだことを教えるべきか?

 いや、でも、いきなり「あなたは死にました。」何て言ってもパニックを起こすだけだ。

 とはいえ、ここで教えなくともいずれ気付くだろう。要するに早いか遅いかだけの違いだ。

 しかし、覚悟云々の関係で、薄々気付いてはいるような状況で教えるのが一番だが、現段階でそんな様子は微塵も無い。

 さて、どうやって薄~く勘付かせるか…


「守!大丈夫!?」


 と、こんなところで呆気に取られていたと思われる皆がやってきた。

 さて、今考えていた事を、目の前に本人(人魂だが)がいるのにどうやって伝えるか…


「人魂と話すなんて、肝が据わってるにも程があるわよ…」


「おい!人魂って言うな!本人は死んだことに気付いてないんだぞ!!」


『え!?死んだ!?人魂!?』


 ……あ。言っちまった。しかも本人の前で。


『確かに体が無いな~とは思ってたけど、私人魂になってるの!?』


「そこまで気付いてたのに何で死んだことには気付かなかったんだよ!!」


 思わずツッコんでしまった。なんか不覚。


『……確かになんでだろう?』


 えぇ~…それすらも分からないのか…これが天然って奴か。いや、やたらと鈍いだけか?


『……思い出した。確かに私は死んでた。道路を渡ろうとしたら車が突っ込んできて…それで私は…私はああああああああああああ!!』


 人魂は叫びながら辺りを暴れるかのように動き回る。

 やばい!いきなり話したからパニックになってやがる!!

 人間、パニックになったら何をしでかすか分からない。コイツは今は人魂だが。


「とにかく落ち着け!」


『落ち着けるわけ無い…落ち着いてられないのおおおおおおおおお!!』


 と言って人魂は俺に向かってきた。

 あまりにも突然のことだったので、俺は避ける事ができなかった。

 俺と人魂はそのままぶつかる。

 人魂がぶつかると、俺は急に力が抜け、倒れてしまった。


「「「「「「「「「「『『守!』』」」」」」」」」」」


 皆が声を掛けてくる。

 だが、ここでおかしい事が起こった。

 動けない。

 別に、立ち上がれないほど疲弊しているわけではない。だが、力を入れられない。というか自分の意思では体がピクリとも動かない。

 しかし、俺の意思では何も出来ないはずの俺の体が突然起き上がった。

 まるで誰かに体を動かされているようだ。

 と思ったのも束の間、俺の体は俺の意思を無視して話し始めた。


「…体がある…?」


 俺の体から動揺のようなものが感じられた。

 俺じゃない、誰かの動揺が。

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