第二百三十二話 なんか少ないな?その恐さは世界共通!?
二話目。
明日は早いので、さっさと寝ることにしたいと思います。
もう一話書くかもしれませんが。
カッカカカカッカカカカカカカ…
「「「「「「「「「「『『……』』」」」」」」」」」」
部屋に俺が動かすペンの音が響く。
俺が動かすペンの動きは、常人にはペンが何本もあるように見えるのかもしれない。だって身体強化系の魔法を使って書いてるし。
ついでに目と頭にも同じ魔法を使って、早すぎるペンの動きに対応できるようにしている。
そのため、はたから見ればものすごいスピードで宿題をしているように見えるだろう。体感速度も変えられるなんて便利だ。
カカカッカカカカカッカカカ…
「「「「「「「「「「『『……』』」」」」」」」」」」
カカカカカカッカカカカカカ…
「「「「「「「「「「『『……』』」」」」」」」」」」
カカカカカ…ピタッ
「お前等!なんでずっと俺を見てるんだ!スゲー気が散るんだけど!!」
やたらと突き刺さる視線に耐えられなくなった俺は、椅子を回転させて部屋の入り口の方を向く。
そこには異世界から来た十一人がいて、じ~っとおれを見ていた。
さっきから幾つもの視線が突き刺さっていたので、ものすごく気が散る。
さっさと宿題を終わらせないといけないと言うのに…
…ん?十一人?なんか足りないような…
「ああ、光と移図離と俊太と太郎と火太郎は帰ったって事を言おうかと。五人も宿題だってさ。」
「あと、私達はしばらくこの家でお世話になることになったから、そのことも言おうかと。」
「ああ、だからさっきからずっと待ってたのか。わざわざ知らせてくれてありがとな。」
「ちょっと待ったぁ!」
そう言って、俺は宿題に戻ろうと椅子を回転させて机に向き直ったが、待ったがかかる。なんやねん。
「元の姿に戻るためには読書をしないといけないんじゃなかったっけ?」
「……わ、忘れてたあああああああ!!」
そうだよ!宿題ばっかりにかまってる暇は無い!
俺はタカミに言われてようやく気付き、”異世界ドタバタ騒動記②”を手に取る。
重要度で言えばこっちのほうが上だ!宿題はちょっと評価が下がるだけだが、罰の方は入学式前に解かないといけないしな!!宿題なんてやってる場合か!!
「守…お前本当に変わったな。母さんから聞いてはいたが、髪の色が変わるだけでここまで印象が変わってくるとは……!?」
「父さん!?」
こんなタイミングで父さんがやってきてしまった。
今の俺をはたから見ると、宿題を途中でほっぽり出して本を読もうとするように見えなくも無い。
「……守。宿題はどうした?」
「ええっと、今は宿題より、この本を読むほうが優先度は高いかと思って」
「宿題が終わらなかったら死ぬまで特訓だ。忘れるなよ?」
「ハイッ!!」
地獄かなんかから聞こえてきそうな恐ろしい声音で言い、俺の返事を聞くと、父さんは部屋を出て行った。
俺は優先順位の変更を素早く変える。そして、先程と変わらぬように魔法を使い、宿題を再開した。
宿題を終わらせないと…本は二の次だ…
「さすがというべきか、守の父親は恐いな…僕の話通りだ…」
どの世界でも、俺の父さんは恐いらしい。
タムの呟きを小耳に挟んだ俺は、こっそりとそう思うのであった。




