第二百三十話 さて帰ろう?割と信じられた!?
一話目。
何故だ…何故眠いんだ…
タムの家に戻る途中、自称女神様の事や俺への罰に関する事を洗いざらい三人に話し、無事に”異世界ドタバタ騒動記”を全巻手に入れた。
借りるだけで良かったのだが、タムが、
「どうせ同じ物がいくつもあるんだし持ってけ。」
と言ってきかなかったため、全巻ありがたく頂戴する事にした。一回読んだら二度と読まなさそうだが。
「で、もう帰るのか?」
ぶっちゃけこの世界ですることが無い。
というか皆には黙って出て行ってしまったため、少なからず心配はかけているだろう。
だから、早いところ帰らなければならない。
「ああ。悪いな、世話ばっかりかけて。」
「いいっていいって、俺だってそっくりさんとはいえ、自分が書いた物語の登場人物に会えたんだからな。それだけでも嬉しいさ。」
本の事と言い、タムは太っ腹で良い奴だ。世の中こんな奴ばっかりだったらナンパなんて消えるのに…
タムの家で本を貰った後、その辺にあったテキトーな鞘つきナイフの鞘に”思い浮かべた世界に移動する機能”をつけ、タムの家の前で帰ることにした。ナイフ本体ではなく鞘に機能を付与したことに意味は無い。なんか敵を欺けるかなーと思っただけだ。
無論ローブはまだ着ている。本は服を入れていたリュックサックに詰め込んだ。文庫本サイズでなければ服と一緒には入らなかっただろう。
「じゃ、もう行くから、光とギーナは俺に摑まってくれ。」
父さんにあげた障壁もだが、この鞘は、移動する時に、鞘を持っている人に摑まっている人も移動する。少しでも離れていれば一緒に移動する事はない。
モデルがどっかの摩訶不思議な世界の瞬間移動だしな…
っと、それよりも早く行かないと。
俺は元の世界のことを思い浮かべ、移動しようとする。
が、移動する直前にタムが俺の肩を摑んできた。
「僕も行くぞ!」
「お、おい!書いてる小説はどうす」
そのまま俺たちは移動する。結局タムは俺の肩を離さなかった。
「るんだ!失踪したようなもんだぞ!!」
「いずれ戻るから大丈夫だ!これは決して失踪じゃない!」
喋ってる途中で移動したため、なんか中途半端なことになった。
とにかく、これで元の世界に戻った。あとは皆をさが
「いた!お~い!皆~!光とギーナが居たぞ~!」
す必要は無いようだ。これで合流できる。
ご都合主義という言葉が頭をよぎったが、よぎるなり通り過ぎていった。なんだったんだ…
「で?そこの二人は誰?そして守は?」
タカミの一言でやっと思い出せた。今の自分の姿が元の自分の姿とかけ離れている事を。
自分がしてる格好って、割と気にならないもんだな~…女の体で居る事にも慣れてきたし。
慣れたくなかった。もうこれ以上はなりたくない。元から嫌だったが。
あ、取り合えず返事しとかないと。無視されてると思ったのかタカミがなにやらイラつき始めた。
「俺が守だ…と言って信じるか?」
「ええ!?何があったの!?」
「何で髪なんて染めたんだ?」
「しかもさりげなく性別変わってるし…」
「…嘘だろう。」
「本当に~?」
割と信じられたり半信半疑だったりしていた。
ちなみに半信半疑なのはルドとルーだけだった。って、ルドは既に合流してたんだな。しれっと混ざりやがって。合流したなら言ってくれよ。
割と他の面々から信じられてる理由は…まあこれまでの経験からだろうな。
「まあ、結論から言うと本当だ。色々あってな、帰るには必要だった。」
「守の事情はこの後聞くとして、そこの人は?」
「あ、僕はタムだ。職業は小説家。」
「……なんで小説家が一緒に来るのかが気になるけど、その辺も含めて説明して貰うわ。さあ、早くはけ!」
「言われなくとも言うさ。」
どの道俺への罰については言わなければならないからな。別に髪は染めたわけじゃないとか。




