第二百二十六話 八方ふさがり?希望が見えてきた!?
一話目。
帰りが九時半ってどういうことだ…
しかも明日は祝日なのに学校に用事が…
祝日くらい休ませてくれ…!
結局積み上げられた本はそのままスルーされた。タムが少し残念そうにしていたが、それもスルーしておいた。
「まず、世界間の移動を可能にしないといけない訳だけど、何か案は?」
光が俺たちに訊く。
今はどうやって元の世界に戻るかを議論している。
まずしなければならないことを突き詰めていった結果、今光が言った問題をなんとかしなければならないということになった。
「前まではそれが出来る障壁を持ってたんだけどな…父さんにあげたっきり帰ってきてないし作ってもいない。」
父さんがこんな事もあろうかと、何て言ってここに来ない限りはその障壁は使えない。
もっとも、それはありえないので使えないということになるが。
「じゃあ今作れば?」
「出来ない。まだあの能力には目覚めてないし、レアモンドの結晶もタカミのアイテム収納欄の中だ。」
さっきポケットをあさったが、レアモンドの結晶が入った障壁は無かった。よってこの案も使えない。
「魔法による移動は?」
「出来ないわね。魔法で使える移動手段は無いから。」
光の問いをギーナが否定する。
…地味にこれ、八方ふさがりじゃないか?解決策が無い。
「…参考までに訊くけど、タムは?」
「僕が分かる訳が無い。向こうから来るのを待つ以外には思いつかないよ。」
案の定駄目だった。元から期待はしていなかったが、これで本当に万事休すか…
「……そうだ!またあのグニャグニャに入ることが出来れば!!」
グニャグニャこと、世界の歪みはまだ消えてないかもしれない…か…可能性は限りなく低いが、それに賭けるしかあるまい。
「そうだな。それに賭けてみるか。で、場所は?」
「え?」
「場所だよ場所。そのグニャグニャがある場所。それが分からないと行きようが無いだろ?」
「……分からない。」
「………ギーナは?」
「守を捜すのに必死だったから覚えてない。というか今ここから初見の森の一地点に案内しろって言う方が無理よ。」
確かにそうだ。誰でも初めて入った森のたった一つの場所に案内しろという方が無理だ。それも誰かを捜している状況となれば。
「だからと言ってあの森であるかどうか分からないものを捜せって言われてもリスクが大きすぎる。で、今度こそ万事休すね…」
光は自分で元の世界に帰る事を諦めてしまったようだ。俺はとっくに諦めていたが。
何せこの状況、全く解決策が見えてこない。せめてあの障壁があれば…女になれれば能力が使えて…
…そうか。女になる方法はレアモンドの結晶だけではない。この世界にティエスの実があれば…
「タムに一つ訊きたい事がある。この世界に人の性別を変える方法はあるか?」
「……そんな言い伝えはある。そしてその言い伝えの舞台も。」
「本当か!?」
「だが、確実じゃない。」
希望が見えてきた俺の言葉に、間髪を入れずにタムは言った。
だが、確実ではないにしろ方法があるのならそれを試したい。そのためならどんな困難にも立ち向かって見せる。
「それでいい。で、その方法は?」
「……この町の南にある山を登ったところに洞穴がある。その洞穴の奥には一つの宝玉があるんだが、それに触れると」
「ありがとな!早速行って来る!」
俺はタムの言葉を最後まで聞かずに、タムの家を飛び出していった。
方法は分かった。これで元の世界に帰れる!希望が見えてきたぞ!!




