第二百二十三話 真夜中の人だかり?訴えるぞ!?
一話目。
私達は守が走り去った方向に歩いていった。
ギーナは本を読んでからしばらく顔が真っ赤だったけど、ようやく収まってきた。同情するわ…
とにかく、守がどこまでこの世界について知ってるのかは分からないけど、さっき分かった事は守にも言っておく必要がある。
それで、歩いてる内に森を出たんだけど…
「なんだ?真夜中なのに人だかりが…」
森を出て入った町には、真夜中であるにもかかわらず人だかりが出来ていた。
その中心に何があるのかが気になったけど、辺りが暗いせいで見えない。
「今気にしても仕方ないんじゃないか?」
「それもそうなんだけど…なんか気になるのよね~…」
守が走り去った先にあった人だかり。何か嫌な予感がする。
気になって仕方が無かった私は月の光や星の光を能力で操り、人だかりの中心を照らす。
そこにあったのは…
「…あれって、守の障壁ハウスよね?」
真っ黒な小屋のような建物。それは守が走り去る前に見た、あの障壁ハウスに酷似していた。
「おいおい、あんなものさっきまで無かったぞ!何なんだあれは!」
タムがそう言っているという事は、もしかしなくとも守が創ったものだろう。
守はあれを一瞬で創れるし。
「…間違いなく守ね。」
ギーナも私と同じ結論に至ったらしい。
あのバカは…どう収拾をつける気なのか。
「…ほっとこう。」
「そうね。」
ギーナの意見はこの状況において一番のものだと思いながら、私達は宿屋に向かった。
タムがついてくることは無かった。
追い返す手間が省けて良かった、めんどくさいし。
俺は外からのざわざわという音で目が覚めた。
なんだよこんな朝っぱらから…って、障壁ハウスには窓が無いから朝かどうかすら分からん。
とりあえず障壁ハウスから出てみる…前に着替える。さりげなく元の高校生の姿に戻ってた。目線の高さで分かる。
…気を取り直して、ガチャっとな。
「おい!あれは高壁守じゃないか!?」
「本当だ!髪は長いが似てはいる!!」
バタン
……ナニアレ?
すげー人だかりが出来てたんスけど。囲まれてたんスけど。
ガチャ
「うわ!?中は真っ暗だ!」
おい!入ってくんな!住居不法侵入罪で訴えるぞ!絶対に勝訴してくれるわ!!
だがヤバイ。入り口は誰か良く分からんが誰かが入ってきた入り口一つしかない。つまり、逃げられない。
一体、どうすればいいんだ…あ、そうか。消せば良いのか。障壁ハウスを。
思いついたら即実行といわんばかりにさっさと障壁ハウスを消す。
そして、障壁で上に参りま~す。して、更に障壁で通路を創る。
完璧な逃走だ…どんな大泥棒もこの方法には勝てまい…!
「ハッハッハ!あ~ばよ~!!」
「あっ、逃げたぞ!」
「あの逃げ方…そしてこの黒い物体…やはりアイツは……」
俺は見事にその場から逃げ出した…
…と思ってた時期が俺にもありました。
上からの脱走も、地面に降りる地点で待ち伏せされてたら降りれない。地面に降りれなければ脱走成功とは言えない。
上からの逃走は降りるまでが逃走だったのか…どんな大泥棒も使わなかったわけだ。
しかし、何で追ってきたんだ?俺が追われる理由なんて…
…あったな。人気小説の登場人物そっくりという大きな理由が。
まあ、ほぼ本人といっても差し支えないけどな。でも俺はあんなに鈍感じゃない。だからあくまでそっくりさんだ。
ほぼ同じならまだ許せるが、全く同じというのは認めない。
…と、そんなことより今を何とか切り抜けないと…ん?なんか別の所に人だかりが出来てるな…
とりあえず野次馬精神でその場所に行ってみた。すると…
「おお!こっちにはギーナと吉野光が!!」
…ギーナと光が囲まれていた。
「何やってんだ二人とも?」
「あ!守!さりげなく元に戻ってるわね!」
「というかなんで上から!?」
「そんな事より、やばそうだから助けるぞ。ほいっと。」
そう言って俺は光とギーナの間に割り込み、そこから障壁で上に上がる。
これからどうするのか。俺は何も考えていなかった。




