第二百十九話 事件発生?上に参れません!?
まさかの二話目投稿。
女子用の障壁ハウスに新しく一つ寝具が追加され、皆が寝ようとし、既に数人は障壁ハウスに入っていた時に事件は起きた。
「む?守はこっちだろ?」
男子用の障壁ハウスに入ろうとしたところ、ルー(黄金人の名前。さっき皆で自己紹介した時に聞いた)に止められる。
ルーが指差したのは女子用の障壁ハウスだ。
「……俺は男だ。」
「え?何言ってんだ、お前みたいな美少女と呼べるような奴はそうそう居ないぞ?冗談はよしてくれ。」
……美少女?俺が?
「え、えっと…守は本当に…」
「ギーナ?お前までそんな冗談に加担するのか?」
………もう嫌だ…
「ま、守…?」
俺の様子に気付いたのか、光が心配そうな顔をして俺を見る。
だが、もう遅い。
「……もう…もう限界だ。俺は…俺は…俺は男なのにいいいいいいいいい!!!」
「「守!?」」
「え?え?まさか本当に…?」
俺は障壁ハウスとは全く違う方向に走り、皆から逃げていった。
光とギーナの声も、戸惑うルーの声も、俺には内容が聞き取れないほど遠くに聞こえた。
気が付くと、俺はあたり一面の木に囲まれていた。俺以外誰もいない。
どこをどう走ってきたのかは、俺にも分からない。
だが、さっきよりも冷静になった今、一つだけ分かったことがある。
俺はかなりストレスを溜め込んでいたらしい。
というのも、ここ最近は色々とありえないことがあった。
異世界に来た、能力が使えるようになった、魔物やロボット、人とも戦った、女になった、こうしてあげていくときりが無い。
そんな常識ではありえなかったことが何度も続けざまに起きたのだ、それが大きなストレスになっていても無理は無い。
大きな変化はストレスになるからな。
それが何度も女扱いされたことで爆発したんだろう。もっとも、これだけ大きな爆発があればもう大丈夫な気もするが。
とはいえ、今回の件で考えなければならないことがある。俺たちの世界から来た親友五人だ。
あいつらもなんだかんだで俺と似たような体験をしてきている。そのストレスにあいつらがいつまで耐えれるか…
まあ、最初の一週間やら女になったやらは俺だけだからあいつらは俺より幾分かマシだろうが。
さて、この件を考えるのは終わりだ。後は…
「これからどうするか、だな。」
今の俺の状況は、森で遭難し、なおかつ帰り道が欠片たりとも思い出せないというまさに詰んだ状態だ。
だが、俺には能力がある。障壁で上に参りますして上から森を見れば出口は…!
「って、枝で上に昇れねえ!」
と思って上を見上げてみたら木の枝が頭上をほぼ多い尽くし、このまま上がれば傷だらけは確実だった。上に参れません。
枝が無ければ…枝が無ければああああ!!
ガサッ
「!?」
こんな時にこんな音がすれば誰でも驚く。なんなんだ…ん?デジャヴか?
音がした方向を見ると、そこには一人の男がいた。俺を見てなにやら驚いたような顔をしている。
今回は狼じゃなかったな。あ、フォルフは狼じゃなくてマルフだった。
なんて、内心ふざけていた俺だが、その男が放った一言を聞いて絶句した。
「似ている…君は似ている!僕が想像している”高壁守”に!!」
……は?
なんか構想とは違う展開になった…
なんでこうなったんだ?
あ、ノリと勢いか。
これが作者がプロットを作らない理由だったりする
決してメンドクサイからではない。決して…いやちょっとはあるかな…




