第二百十六話 これは何弁だ?原因不明の呼び出し!?
一話目。
こんなところで会うことになると思っていなかったのは俺だけではなくルドもだったらしい。
以前ルドと会った時は鳥かごに入るほど小さかったのだ。それがまた会ってみたら普通の子供サイズになっていれば驚きもするだろう。
なので、俺はルドに実ッ苦ス汁スを飲まされた事や、その辺の事情を説明した。無論、あの時小さかった他の五人の事もだ。
「…なるほど。そう言うことだったのか。でも、守が十五歳の男っていうのは信じられないな~。そんな格好じゃあ。」
「やかましい!女顔で悪かったな!!」
「ん?女顔…女…そうだ!こんな事をしている場合じゃなかった!」
「なんだ?」
「この前言ってた幼馴染がようやく見つかったんだ!
でも追ってる最中に守とぶつかって…」
「ああ、さっき俺にぶつかったのが例の黄金人だったのか。」
それにしても…俺にぶつかってきたあいつの後姿はどっかで見たような…
割と最近に見た気がするんだが、思い出せない。
どこだったっけ?確か罰ゲームの前だった気がするが…
となると、少なくとも旅に出る前だな。でもそこからがな…
「どうした?」
「ああ、その女なんだが、どっかで見た気がするんだ…」
「…ナンパか」
「誰がするかそんなことを!俺はナンパが大っ嫌いなんだ!!」
「そ、そうか。」
間髪いれずに叫んだ俺に、ルドが少したじろぐ。
人をナンパ扱いしよって…わしはナンパとちゃうねんど!
…どこの方言だ?コレ。
「とにかく、ルドが捜してた奴がここに居るんだな?」
「ああ。会話してる間に村から出てなかったらな。」
「そうか。じゃあ捜すのを手伝うか?俺のせいで見失っちまったみたいだし。」
「いいのか?」
良くないわけが無い。ぶつかってきたのは向こうだが、ルドは俺を気遣って追うのを止めたんだしな。
俺はその問いに、
「もちろん!」
と、輝くような笑顔(多分)で答えた。
ルドが追っている女の特徴を聞き、そのままルドとは別れた。
俺たちの障壁ハウスに泊まらないかと提案したが、既に宿は予約済みだったらしい。
で、日が暮れたので皆と合流し、村の外れに障壁ハウスを創ったんだが…
「すまない、そこの人に用がある。」
誰か来た。いやマジで誰だコイツ。
来たのは黒い髪の少女だった。それ以外に特徴という特徴が無い。
顔は……俺じゃ基準が良く分からんが、悪いというわけでもない。
「そこの人って…守?」
光が応対する。その少女が指を指しているのは確実に俺だ。だが、全く身に覚えが無い。
ただ、焚き火以外の明かりが無いので良く分からないが、顔に少しだけ見覚えがあった。
だが、どこで見たかまでは思い出せない。見に覚えが無いのに見覚えがあるとはこれいかに。
「守…というのか?とりあえずそうだ。」
向こうも俺の名前を知らなかったようだ。何で名前も知らない奴に用があるんだ?
「なら、さっさと済ませてきちゃいなよ。すぐに終わる?」
タカミが答える。
「おそらくな。いいか?」
「あ、ああ…」
何がなんだか分からないまま、俺はその少女についていった。
「守も隅に置けないねぇ~。」
「そんなんじゃねえよ!」
タカミの明らかに面白がっている声を背に受けながら。
「…ここだ。」
拉致か連行をされている気分になりながらついて行く事数十秒。さっきまで皆といた焚き火は、少し遠く離れている。
この後何が起きるのか。それは目の前の少女にしか分からない…まだ名前訊いてないな。
呼び出されるシチュエーションで真っ先に出てくるのは説教だが、俺は説教されることをした覚えなんて無い。
告白?論外だろ。
「何の用があるん」
「さっきは済まなかった!」
こちらが言い切る前に謝られた。なんで?
「さっきはぶつかったりして悪かった…わざとじゃなかった。必死で逃げてて周りのことが見えてなかったんだ。」
ぶつかった?逃げてた?
…ああ、昼間に俺にぶつかってきた奴か…って、ん?という事はまさか…
「まさか…黄金人?」
「な!?何故知っている!?」
…そのまさかだったか。
こりゃまためんどくさい事になりそうだ…
次の投稿は試験が終わったらになりそうです。
さて、試験勉強、試験勉強…




