第二百十三話 立ち直ってすぐに追撃?町に着いていきなり騒動!?
一話目。
今週は平日の投稿は出来そうにありません。
申し訳ありません。
俺たちは今、さっき寝ていた場所から出発し、大分歩いていた。
「……俺は女顔じゃない…俺は女顔じゃない…良し!」
ぶつぶつ呟いているのは、他の誰でもない。俺だ。
今は二次性徴がまだな程幼い事と、着ている服のせいで女の子に見えたのだろう。
絶対そうだ。間違い無い。と、自身を納得させ、更に自己暗示まで使って、俺はなんとか立ち直れた。
「高壁と守が並んでると姉妹にしか見えない…」
と思っていたらタカミからの追撃を受けた。
「まあ同一人物だからね。」
「確かにそうだけど!姉妹は止めてくれ!」
追撃は止めてくれ!まだ完全には立ち直れてないのに!!
「落ち着け。そろそろ次の町に着くぞ。」
「そう簡単に落ち着けるか!」
「あと、守は結構女顔寄りだ。」
「止めろーーーー!自己暗示を崩そうとするなーーーー!!」
「…その姿でその言葉遣いは似合わない。」
移図離までもがっ!
「ようこそ、我々の町へ…そこのお嬢ちゃんはどうしてそうしょんぼりしてるのかな?」
「グハッ!」
町に着くと、いきなり町長と会った。第一町人が町長とは…
「……ドンマイ、守。」
火太郎が慰めてくれるが、下がりに下がったブルーな気分は変わらない。
「あ~え~っと…その子は男です。」
太郎、”子”は無いだろ、”子”は。
「え?…そ、それは済まなかった!」
「もういい…」
謝られても、下がりに下がったブルーな気分は(ry
「お詫びといっては何だけど、私の家でジュースを飲ませてあげよう。それで許してくれないかい?」
「……うん…」
気分が下がりすぎてこんな返事になっちまったよ。まあいいか。
「……今のはグッと来るわね~。」
タカミがボソッと何か呟いたが、俺には聞こえなかった。
「はい、これがジュースだよ~。」
「ありがとう。」
町長の家に着いた俺たちは、客間に通され、俺は早速ジュースを貰っていた。
「ここに来るまでどうも道具屋の数が多かった気がしますが、何か理由があるんですか?」
リセスが町長に訊く。言われてみればそうだったような…ゴクゴク。
「ああ。それなんですが、ここの名産品が飲むタイプの育毛剤なんですよ。あ、その育毛剤を飲んでも、髪の毛しか生えませんよ?」
「へえ~、飲む育毛剤か~。だから町長さんも髪の毛がフサフサなのか?」
「ハハハ、まあ、そんなところです。」
「ん?このジュース、味がしないぞ?」
「え?おかしいな、確かにそこにあったジュースを…ちょっと確認してきますね。」
そう言って町長は客間から出て行った。
「飲むタイプの育毛剤か…また変わったものおおっ!?」
喋っていたらいきなり目の前が真っ暗になり、頭が重くなった。
「ま、守!?」
「髪の毛が…どこのホラーだよ!顔が見えてないのがまた恐いわ!」
髪の毛?ホラー?何を言っているのかさっぱり理解できない。動揺しまくっているからだろうか。
「すまない!それジュースじゃなくて育毛剤…ってなんじゃありゃ!?」
なんだ?何が起きているんだ!?
「とにかく、髪の毛をどかして!守は今、髪の毛が異常に伸びてるの!」
育毛剤?髪の毛が伸びた?…ああ、そういうことか。ギーナのおかげでやっと分かってきたぞ。焦ってて理解に時間が掛かったが。
町長がジュースと間違えて育毛剤を持ってきて、それを俺が飲んだから髪の毛が急に伸びて、伸びた髪の毛のせいで前が見えなくなった…ということか。
じゃあまずは髪の毛をどかさないと…
髪の毛を掻き分けると、ようやく前が見えるようになった。
…ん?なんで皆は固まってるんだ?
「……誰だこの子…」
は?この子?
ふと、客間にあった鏡が視界に入った。そこに映っているものに驚きすぎて、思わず二度見してしまった。
「な…なんじゃこりゃーーー!?」
そこに映っていたのは、地面まで着きそうなロングヘアーの、可愛い女の子…のような俺の姿だった。




