第二百三話 手遅れだった?からかってねえよ!?
一話目。
遅れた理由。
二時間半の睡眠時間
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一時間目から水泳(こんな時期に)
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二時間の精密作業
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三時間の履歴書記入
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帰宅後十時間睡眠
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軽く執筆(書ききれなかった)
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買い物へ
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帰宅、夕食
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執筆
「おっと、ようやく来たか。遅かったな。門番は既に手遅れだ。」
「なにやってんの!?」
俺たちは村の入り口まで戻ってきた。
そこには、うつぶせに倒れている門番が悔しげな表情をしながらタカミを見上げていて、タカミはその門番を右足で踏んでいると言う光景が広がっていた。
そして俺たちを見たタカミは、悪役染みた口調で俺たちに言った。
マジでなにやってんの!?
「なにって…「そこまでお互い気に入らんのなら勝手にけんかでもしてろ」って村長に言われたから、その通りにしただけよ。」
「まさかこうも一方的な戦いになるとは…わしの想定では、お互いに互角の戦いをして、そこから友情を芽生えさせるつもりだったんじゃがのう…
予想外じゃったわい。」
それは男同士の友情の育み方じゃないのか?とか、もっと他にいい方法は無かったのか?とか、いろいろと思うところはあるが、これで二人の和解はなくなったと思っていいだろう。
もうここから仲良くなるとか、想像できない。
もっとも、またこの村に来るかどうかは分からないので、そもそもまた会うかどうかさえ分からないが。
「…私としては暇が潰せて良かった。」
おいおい…
「とにかく、俺たちはもう行く。じゃあな。村長。」
「そうか。また来るといい。」
「……二度と…来るな…」
門番、なんかスマン。
ともかく、俺たちはそれぞれ別れの挨拶をし、村から離れていった。
「吸血鬼ぃ?」
「そう。この村は吸血鬼が出るんだ。」
俺たちは次の町に無事に着き、その辺にいた、二十歳独身(自称)の人にこの町の事を訊いてみると、吸血鬼がいるという話を聞いた。
「吸血鬼って、あの?」
「そう。人々の血を吸って、血を吸われた人を眷属にする吸血鬼だ。
特に、よく君らみたいな美人さんが狙われるらしい。だから気をつけたほうがいいよ?」
…ナンパの類だろうか。独身って言ってたし。話を訊いたのはこっちだけど、もしそうだったら許さない。
俺にはナンパに対してアレルギーというかトラウマというか、そんな物があるんだ。もしそうなったら、多少理不尽かもしれないが勘弁して欲しい。
「だってさフラル。」
「あてつけであるか!それはあてつけであるか!その美人さんに言われても嬉しくないである!」
「いや、フラルも結構顔整ってるからな?」
エルフという種族だからだろうか。ギーナもそうだが、フラルも結構美人だ。顔は。
フラルが居た村では、見た住民の全てが美男美女だった。
だから、美形なのは最早種族特性なのだろう。フラルに自覚は無いようだが。
「守もからかうであるか!?」
「からかってない。美形なのは種族特性みたいなもんだろ。」
「よく知ってるわね。エルフには総じて美形って言う特徴があるのよ。人間から見れば、だけどね。」
ギーナのうんちくをきいて、この世界もそうなのかと思う。俺の推測は一つの村の実体験と創作物で出来てたからな。確実なものじゃなかった。
「村では私は普通の顔立ちだったである!」
…フラル基準の美形が見てみたいものだ。あ、ギーナがそうだった。
「へえ~ってことは、お嬢さんはエルフなのかい?」
「耳を見れば分かるはずである。」
普通、出会って数秒の人の耳なんて見ないと思う。
そう思いながら、俺は密かに吸血鬼への警戒を高めていた。
…俺は自分の心配をしたんじゃない。女性陣の心配をしたんだ。断じて間違えるなよ?誰に言ってるか分からんが。




