第百九十九話 疑問解決?無駄な苦労!?
二話目。
次で二百話目!
守達が黄金族と話している頃。モスタ村の入り口では、待たされている人間と門番、そして何故か村長がいた。
「…暇。」
「暇だね。」
「暇ですね。」
「『……』」
タカミと門番は守達が村に入ってからお互いにそっぽを向いている。
「そうだ、いくつか訊きたいことがあるんだけど…」
火太郎が暇に耐えかねたのか、二足歩行亀に訊く。
『おお。何でも訊かれよ。こちらも暇だったのでな。』
村長はあっさり了承する。亀もよっぽど暇だったらしい。
「じゃあ遠慮なく。まず、皆に許可を出してたけど、村長に許可を貰わなくても大丈夫なの?」
『問題無い。わしが村長なのだからのう。』
火太郎達は表情に出してこそいなかったものの、少し驚く。
しかし、この話題を引っ張ってもしょうがないので、火太郎は次の質問をする。
「なんとなく分かってはいるけど、なんでタカミは許可しなかったの?」
『門番ともめた…というのも無い訳ではないが、タカミ…と言ったか。その者のように、亜人の中には人間としてのプライドを持っている者もいてのう。
そういった亜人は、大抵この村の住人とは馬が合わんのだよ。』
「なるほど。じゃあ次。なんでこの村は町みたいなのに村なの?」
『最初はこの村はここまで立派じゃなかったんじゃがのう。最近になって新しくなったのだ。』
「更に質問、なんでここは地図にのってないの?」
『む?地図にはまだ載ってなかったのか?
この村は出来てからそう日が経ってなくてのう。地図もそう頻繁に書き直されるものでもなかろう。』
「なるほど…色々分かった。ありがとう。村長。」
『よい。それより、また暇になってしまったな。ここは一つ、あなた方の旅の話でも聞かせてはくれないだろうか。』
「良いけど、何から話せばいいのやら…」
『なら、こちらがなにかしらの質問をする。それに答えてくださらぬか?』
「分かった。」
『では、最初の質問じゃ…』
村長の質問が始まった。
「ちょっとは、話を、聞けっ!」
「問答無用!誰が話なんか!」
「うわ!うお!?おっとぉ!?」
俺は今、黄金族の攻撃を必死に避けている。
攻撃と言っても、この身長の差では、向こうは踏み付けくらいしか出来ないが。
その踏み付けは、靴下のおかげで避けられている。靴下に機能を付けて本当に良かった。
「このこのこのこの!」
「誰でもっ!いいからっ!助けてっ!くれっ!」
「「「「「「『『無理だ。』』」」」」」」
「………」
お、お前ら…諦めが早すぎる!ギーナに至っては目を瞑ってるし!
「これでもか!これでもか!」
まだ奴は攻撃の手を止めない。誰か早くなんとかしてくれ。
俺にはどうすることも…いや、なにかできるんじゃないか?
俺にはあの能力がある。あの能力ならなんとかなるかもしれない。チートに近いから。
だが、どういう機能にすれば良い?まずはそこから考えないと…
俺は考えている間も続く攻撃を避けつつ、考える。正直辛い。
一体どうすれば…あと少しで…あと少しで…そうだ!
「止まって!」
今のは俺ではない。ギーナだ。
声の方向を見ると、青い霧のようなもやが、黄金族の男に伸びる。
もやが収まると、男の金髪は元の髪の毛の色に戻っていた。
…あれ?攻撃を避つつ打開策を考えた俺の苦労は……




