第百九十一話 男の意外な行動?早速言いつけを破った!?
二話目。
「い、移図離!?」
「いたの!?」
「…ひどい…」
移図離が居たことにようやく気付いた俺たちは揃いも揃って皆驚く。
まさかマジでいたとは…全く気付かなかった。
「いつからここにいた?今までどこに行っていた?」
「…順を追って説明する。あれは昨夜…」
私は昨夜、目が覚めたら見知らぬ場所にいたので、外を調べてこの場所がどこなのかを知ろうとしていた。
建物から出ると、すぐに風も無いのに動く風車を見た。
おかしいと思って見に行こうとすると、突如後ろから何者かの声が。暗くてよく分からなかったが、声からすると男だと思う。
「見たな?」
(中略)
「…もしそうだったとしたら?」
「その時は…こうするまでだ!」
私は身構え、訓練で習った構えをする。
しかし、
「頼む。このことは内密にしてくれ…!」
その者がしたのは攻撃ではなく、頭を下げる事だった。
「…どういうこと?」
「そのままの意味だ。夜中に風車が回っているのを見たということを内密にしてくれといったんだ。」
訳が分からない。
何故そんな事を頼んだのかが。後ろめたい事でもあるのかな?
「…それは良い。ただ、こっちからも一つ頼みたい事がある。」
「……なんだ?」
「…この町について教えて。気が付いたらこの町にいて、皆が寝てたから訊けなかった。」
「ああ、それならいいだろう。ついて来い。俺の家で話す。」
私はその男について行った。
「…っと、ここだ。さあ、入ってくれ。ここが俺の家だ。」
案内されて、着いたのはさっきの風車の下の扉。
移動していた間も、風車はずっと回っていて、今もなお回り続けている。やはり風は無い。
ガチャ
風車の下の扉を開けると、そこには居住スペースがあった。
その上に通じる階段は、あの風車にでもつながってるのかな?
「で、何から言えば良い?」
「…まずは……」
ここから、私の質問が始まった。
分かったのは、ここがセカジの村という名前である事、あの風車くらいしか観光名所のようなものは無い事、スタット村からダーフォの森を抜けてくる事だった。
後は質問が思い浮かばない。
「こんなところでいいか?」
「…充分、ありが」
「兄ちゃ~ん!もう良い~!?」
お礼を言おうと思ったら、どたどたと階段を降りてきた男の子に遮られた。
「……あ…しまった…」
「ん?そこの人は誰?」
そこの人とは確実に私のことだと思う。
しかし、風車がある上から来たこの子は一体なんなんだろう?さっきの”もう良い?”とはなんだろう?
「…私は移図離。あなたは…?」
「僕はウィド。」
「そう言えば名乗ってなかったな。俺はライだ。」
「…分かった。じゃあまたいつか。」
「え?もう行っちまう」
私はライの言葉を最後まで聞かずに、宿に転移した。
「…という訳。」
移図離が締めくくる。最後まで聞いてやれよ。
「なあ、内密にしろって言われてたよな?あれは気のせいか?」
「…どうせ隠そうとしても問い詰められるだけ…特にフラルやタカミ辺りは。」
その言葉に、フラルとタカミが明後日の方向を向く。
俺は、まあこの二人ならそうなるだろうな…とか思っていたのであった。
「おい!しっかりしろ!」
俺は既に虫の息となっているアイツに呼びかけた。
「お…れは…もう…駄目だ……たすから…ない……お…まえ…は…分かって…た…んだろ…この…時が…いずれ来るってな……」
確かに分かっていた。すぐに、必ずこの時が来ると。
そして、もうコイツは助からないのだと。
そう思うと、ここ数週間の思い出がこみ上げてくる。
「でもよ…せめて最後まではしっかりしてくれ!
辛いとは思う!でも…」
「分かって…るさ…俺ももう少し…生きて…いたい…
だが…もう…限界…だ」
ガク
コイツは意識こそないものの、生きてはいる。
だから俺は、目が覚めるように、そいつの名を叫んだ。
「夏休みいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!」
という茶番を思いついたから書いてみた。
後悔はしていない。
という訳で、作者の夏休みは今日までで、明日は始業式。二学期が始まってしまいます。
もっと休みたかった…




