第百七十四話 現状を把握しろ?愉快な泥棒達!?
二話目。
「バカヤロウ!なに頼まれたものとは別のものを取ってきてんだ!」
「す、すいやせんボス!動く人形なんて珍しいからいつもの癖で…」
「全くお前は…珍しいものがあったら盗む癖は早くなんとかしろ!そして動く人形なんてあるわけ無いだろうが!」
「で、でもボス、現にここにあるじゃないですか!」
俺たちは鳥かごごと泥棒に盗まれ、古い小屋みたいなところに連れてこられた。
そして泥棒のボス?の前に居る。
「それは人間だ!そんくらい気付け!」
「こんな小さい人間居ないですぜ!」
「現にそこに居るじゃねえか!」
「これは人形ですぜボス!」
「人間だ!」
「人形ですぜ!」
何だこのやり取り…
「…どうする?」
「……早く帰ろう。」
「………どうやってだ?」
「…………それを皆で考えるぞ。」
『俊太はもう少し考えてから発言すべきだと思う。』
「「「それには同意。」」」
さて、息が合ったところでどうするか考えないと…
まず、こいつらは恐らく俺たちをそのまま帰すことはしない。仮にもギーナの家に無断で入り込んだんだ。その証拠は減らしておきたいだろう。
次に、鳥かごからは出られない。更に俺たちは小さくなっているため、鳥かごから出てもこの愉快な泥棒達に見つかったらアウト。
出入り口は閉められていて、小屋は古いだけに穴が開いてたりしている。
そこからうまく逃げ出したとしても、小さくなってるせいでどう頑張ってもすぐに追いつかれるだろう。
つまりこの状況、詰んだ。勝ち目が無い。
皆も似たような結論に達したのか、浮かない表情をしている。
「よし、まずは鳥かごから出ないとな。そして小屋に開いてる穴から脱出だ!」
…約一名を除いて。
「おい馬鹿俊太。そんな簡単に済むわけ無いだろ。」
「そうよ!こんな体じゃすぐに追いつかれるわ!」
「うるせえ!やってみなきゃわかんねえ!」
「そんくらい察せ!それは無謀すぎる!!」
『そうだぞ俊太。』
「だあああああ!!じゃあどうすりゃ良いんだよ!!」
「デュア、今剣の姿になれるか?」
『なれるぞ。守、何か考えがあるのか?』
「いや、無いけど気になったから訊いてみた。」
「「「『無いんかい!』」」」
「おいコラうるせえぞ!」
五人で会議(?)をしていたら泥棒のボスが割り込んできた。
「あ、ちょうど良いですぜボス。なんなら、こいつらに訊いてみましょうぜ?」
「なるほど。それが良いな。お前ら、人間か?それとも、ありえないが人形か?」
「ありえなくないですぜボス!」
普通はどっちもありえないと思う。
なんせこの大きさだ。こんな小さな人間は居ないし、機械でもないのに動く人形もありえない。
…普通なら。
「人間だ。」
「右に同じ。」
「左に同じ。」
「前に同じ。」
「以下同文。」
『同じ…いや、人間というか剣というか…』
「「剣!?」」
デュアの予想外な答えに驚く泥棒二人。
まあ、今のデュアの見た目は完全に人間だからな。
「剣と言えば…俺達が盗めと頼まれたのも剣だったな…」
「おい、ばらすな!」
剣を盗めと頼まれた?
剣ってもしや……いや、まさかな。
「あ…お、お前らのせいだ!」
「自分で勝手に言ったんだろ!?」
「う、うるさい!とにかく、秘密を知られたからには帰す訳にはいかねえ!」
予想通りとはいえめんどくさいことになった…なんで俺たちがこんな目に…




