第百六十四話 理不尽すぎる?やっと思い出せた!?
二話目。
あの後は地獄だった。
心当たりの無い事(中には八つ当たりもあった)から皆に怒られ、その度に命の危機が訪れるという理不尽極まりない目にあった。
合計十九回と言ったところか。…あれ?まさか一回残ってる?
えーと、デュアはプリン、光は抱き枕、父さんは盆栽、ギファードはテーブル、俊太はゲーム、太郎は石ころ、高壁はカボチャ、テチヤはビーフジャーキー、フラルは喋り方、フォルフは毛糸、移図離はホラー小説、母さんがタイムマシン、火太郎が暇、ガーニャがスイカの種、タカミが帰宅部、キャビがキャビア、リセスは髪の毛、ハクは雨、アンカーは壁だったから…残るはギーナか。
俺は目の前にあるギーナの部屋の扉を開ける。
「さて、ギーナは何で怒ってるんだ?どうせ怒ってるんだろ?」
部屋は真っ暗だった。あと、何で怒ってるかわからないのに怒られるのは理不尽な気分になるので、先に訊いておいた。
だが、返事は無い。屍も無い。真っ暗で何も分からない。
無い無い尽くしのこの状況を一体どうすれば良いのか。俺には分からない。
「…は…の…」
「?」
何か聞こえてきたものの、全く分からない。誰か通訳してくれ。
「約束は…守るもの…」
と思っていたらギーナが出てきた。なんというか目が死んでるというかなんというか…とにかく恐い。
「え~と…約束?何のだ?」
約束と言っても、俺にはこれまで通り覚えが無…覚えが…あった!
そう言えばトーナメントの時に後でダイヤっぽい石について言うから来いって言ってたっけな…パーフェクトフォアゲット(完全に忘れてた、のつもり)。
「ワスレタノーーーーーー!!」
「うわああああああああああ!?」
まさかギーナがこんな怒り方をするとは!これはあれであったら良いのに…あれってなんだっけ?こんな時でも分からないのか!!
えっとえ~っと…
「そうだ!思い出したぞ!これは…夢だ!」
俺が叫んだ瞬間、目の前が真っ白になった。
「ハッ!」
目が覚めた。どうやらあれは夢だったらしい。と言うか夢で無ければ困る。
「夢って、これは夢だ!と思ったときに目が覚める事があるよな。」
「たまにあるわよねぇ。」
「だろう?俺は今それで起きたん…ギーナ!?何でギーナがここにいるんだ!?」
「いつまで待ってても来なかったからこっちから来たんだけど…寝てたからちょっと悪夢を見せに。内容までは指定しなかったけど。
あと、夢の内容は全て見たわ。なかなか災難だったわね。」
「………」
えっと、どういうことだ?ギーナは俺が来なかったから俺たちの部屋に来て、寝てたから俺に悪夢を見せて、その内容を見て…う~む…
「何がなんだか分からない…」
「要するに、守は約束を破ったからその罰として守が悪夢を見るように魔法を使って細工したのよ。分かった?」
「分かったような分からないような…」
どうやら俺は少し混乱しているらしい。素数でも数えておけば良いのか?
「2、3、5、7、11、13…」
「…大丈夫?頭でも打った?」
何で落ち着くために素数を数えるだけで心配されにゃならんのだ。あ、元ネタ知らなきゃ心配もするか…
…ん?脳内でツッコミをしたら落ち着いたぞ?ツッコムために一旦冷静になったからか。
じゃあ、これからは落ち着くときはツッコミをすれば良いのか…いや、落ち着いてなくともツッコミは出来るな。じゃあどうすれば良いのか…
「お~い、もしも~し、本当に大丈夫~?」
おっと、話を戻そう。
とりあえず俺がするべき事は…
「ギーナに一つ言う事がある。」
「なに?」
「ここだけを見てるとラブコメに見えなくも無い…不思議だ…」
ゴメン!
…あれ?逆じゃね?
守は夢の中で、何で怒られたのか、皆さんのご想像にお任せします。




