第百五十九話 負けられない戦いが始まる?守にも意地がある!?
一話目。
今日は早く終わったはずなんですが…
何でこんなに遅れたんでしょうか?
「さて、勝たせてもらうでござるよ!」
「…お前も口調が変わったのか…」
「第十二試合、始め!」
ハクの口調がフラルと同じになった所を見て、真似でもしてるのだろうかと思いつつ障壁で上に上がる。
そう、フラルと出会った時の様に。
「またでござるか!その手は対処済みでござる!」
わかってるよそりゃ。何故なら…
「うわ!?あ、危ないでござる!」
そうして油断してスピードを出させたところで障壁にぶつけるのが作戦だったんだしな。
「そう易々と来させるかよ。前は空を飛べるなんて知らなかったから油断したが、今回は」
「隙ありでござる!」
あれ?なんで俺は喋ってる途中だったのに落ちてるんだ?
「今思いっきり油断してたでござるよ!さっきの攻撃を避けた後は何も来なかったんでござるからな!」
あ、障壁で足止めし続けるの忘れてた。まさかハクがこんなに早く来るとは思わなかった。
いや~、前回の二の舞踏んだみたいだなコンチクショオオオオオオオ!!
とりあえず落下中の俺は障壁で安全に着地する。リング外じゃなくて良かった…
「チッ、リングアウトしなかったでござるか。」
「生憎、俺もあの実ッ苦ス汁スは飲みたく無いんでね。ここで負けるわけにはいかないんだ!」
あんなのを飲むと言うのは、本当に笑えない。
何が混ざっているのかは知らんが、何が起こるかはまったく分からない上、確実に良くない目に遭うので、絶対に飲みたくない。
「で、どうするでござるか?作戦を一つ無駄にしてしまったでござるが。」
ハクが余裕の笑みみたいなものを浮かべてこちらを見る。ウゼェと思わずには居られない。
「フッフッフ、そっちからかかってくると良い。」
余裕ぶってみたが、実は作戦はもう無い。ネタ切れだ。
いつものように火事場の馬鹿力的な感じで出てくるアイディアが出てくることを願うしかない。
「ほー、なら行くでござる!」
と言ってハクは空へと上っていく。
「バイバ~イ。」
「そんなに遠くには行かないでござるよ!?」
思いついたのでボケてみた。後悔はしていない。
って、俺が欲しいのはこんなアイディアじゃねえ!この試合に勝てるアイディアだ!
「く、くらうでござる!」
ハクは空から幾つもの魔法を放ってくる。光線、火、泡…ん?泡?
泡って攻撃になるのか?めちゃくちゃ遅いんだが…
光線と火をしばらく必死に避けたり防いだりしていると、ようやく泡がこっちに来た。マジでおせえ…
一応避けてみる。すると…
ドカーン!!
ドカーン!?泡が爆発した!?あぶねえ!?
「どうでござるか!」
「あぶねえよ!直撃したら死にかねんわ!!」
「では、必死に避けるが良いでござる!」
「は?」
ハクの言葉に?を頭に浮かべながら周りを見てみると、俺の周りがふわふわと爆発する泡でいっぱいだった。
「うわああああああああ!!」
ドオオオオオオオオオオオオオオオン!!!
「…はっ!?ここは!?」
俺は飛び起きた。
あれ?俺っていつから寝てたんだっけか…
え~と、確かハクと戦ってて、油断して落とされて、爆発して…
「爆発!?」
そうだ。俺はハクと戦ってたんだ…
あれ?となると勝敗は…
「おっと、起きてたか守。」
記憶を整理していると、俊太が来た。
「あ、ああ…勝敗はどうなったんだ!?」
「ああ、お前が寝てる間に全部終わった。あの後、デュア、光、太郎が負けて罰ゲームを受ける事になった。俺たちと同じでな。
で、これから皆で帰ろうって時にお前は起きたって訳だ。いや~、運ぶ手間がなくなって助かったぜ~。」
そうか…俺は皆の試合が終わるまで寝てたのか…気絶だけどな。
…ん?何か今聞き捨てならない言葉があったような…
「なあ、俊太。今、俺たちって言ってなかったか?」
「あ?ああ、言ったぞ?」
「それはどういうことだ?」
「どういうことって…お前も負けたんだぞ?気絶してる間に記憶が曖昧にでもなったのか?ハクの攻撃でノックダウンしてたってのに…」
……はい?
え?え?ドユコト?
って事は何か?俺も罰ゲームを受けるって事か?
………
「嫌だああああああああああああああ!!!」
「おわーーーーー!!突然叫ぶなーーーー!!」
「ぬわーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
森に俺の叫び声が響き渡った。




