第百四十三話 守は帰って来れた?寝起き軍人!?
二話目。
「帰って来れた…帰って来れたぞ…!」
遭難しかけたけど、何とか帰って来れたぞ!!
俺は迷いながらも、何とかギーナの家に着いた。まだ夜は明けていない。
これなら寝れる…!これで夜に災難に遭う生活とはおさらばだ!!
という訳で、俺は部屋に戻り、寝た。寝る前に、どこかの部屋のドアが開いたような音がしたが、今の俺には関係あるまい。
と、無視を決め込んだ。
「起きろ!守!」
まだだるい…もっと寝かせてくれたっていいじゃないか…今は夏休みなんだし…
「誰だ~、俺の眠りを妨げるものは~。」
こうなったら、テコでも動かん。ストライキだ。
「いいから起きろ!ここで起きなければ、今日は地獄の特訓だな…」
「はい父上。私は今ここに起床しました。」
俺はシュバッという効果音が付きそうなほど素早く起き上がった。
地獄の訓練だけは御免だ。いかなる事情も、これを出されれば無意味と化す。
「ならばよし。朝飯だ、ついて来い。」
「はい!」
俺は軍人のようにキビキビとした動きで、父さんについて行った。
「なあ、高壁、ハク、テチヤ、アンカー、いつ帰っちまうんだ?」
「「「「あ。」」」」
朝食中に俊太が突然切り出してきた。
言われた四人は考えてもいなかったような反応を見せる。そんくらい考えとけよ。
「い、いや、考えてなかった訳じゃないんだ。ただ、未だに迷ってたからそんな反応になっただけで…」
「ぼ、僕もそうだったよ~。」
「わ、私も…」
「俺もです…」
絶対に忘れてやがったな。お前らにもお前らの世界があるだろう。
…ん?俺もこの世界の住人じゃなかったような…まあいいか。
「で、いつ帰るんだ?帰って欲しい訳でもないが、いつ帰るかぐらいはこっちとしても知っておきたい。」
「そうだね…私の能力で出した障壁を守に機能を付けてもらえばいいから、いつでも帰れる。だから出来るだけ早いほうがいいかもしれないね。
となると…」
「三日後。それで文句も無いだろう。」
「そうだね~。」
「異議無しです。」
三日後か…
「そうか。皆で少しゲームをしたいんだが…」
俊太がイタズラを企む子供みたいな表情をしながら言う。怪しい。怪しすぎる…このトラブルメイカーは何を企んでいるんだ…
「もちろん罰ゲームありの。」
やっぱりか…!そんな気はしていたが、やっぱりか…!
「…して、その罰ゲームとは?」
朝食の場を緊張が包む。
「……メタフォの森の果物をふんだんに使った、特製ジュースだ。」
「「「「「「「「「「「「「「「「「『『そんなもん飲んでたまるか!』』」」」」」」」」」」」」」」」」」
見事にハモる。キャビまでもが飲みたくないらしい。そりゃそうか。
…ん?移図離の声が無かったような…え?何で移図離も何か企んでるみたいな笑みを浮かべてるんだ?
「…ジュースは私が作った。」
なんだと!?移図離が俊太に加担した!?ってか、ジュースって、どうやって作ったんだ?
「…作り方は簡単。まず私の能力の転移する能力を使って私の家に戻って、メタフォの森の木の実を刻んで混ぜてミキサーにかける。それだけ。」
「木の実は俺がまだ夜も明けてない頃に起きて採ってきたぜ!」
こんなところで移図離の能力が発覚した!?能力は転移する能力だったのか!!
ってか、寝る前に聞いたドアは俊太が出て行った奴だったのか!無視するんじゃなかった!!そんな事を聞いてたら食い止めてたのに!!




