第百三十八話 良く寝た?どっちがどっちだ!?
一話目。
帰ってきた時間が九時半って…
あの後、部屋で寝た俺は、眠気がすっきり覚め、快適な目覚めを迎えた。
「良く寝たー!」
「やっと起きたかこのねぼすけ!」
高壁と思わしき人物が俺の横に居た。その両隣には、全く同じ外見をしたやつが二人も居る。
…ん?ここは馬車の中か?辺りを見回すと、メリーゴーランドとかでよく見る馬車のようなところに、俺は居る。
しかも、メリーゴーランドとは違い、辺りの風景は、流れていて、時折ガタン、と、振動する。
四人の位置だが、まずは寝てた俺が片方の座席を占拠し、その反対側の座席には、高壁、リセス、アンカーが座っている。誰が誰だかは分からんが。
「何で俺たちは馬車に居るんだ?」
「ああ、そろそろ出発しようと言う時になっても守さんは起きなかったので、なんとか馬車に運んで我々も乗り、出発したんですよ。」
「…今答えたのはリセスか?アンカーか?」
「リセスです。」
ふむ。となると、今答えたのが右のヤツだから、、俺から見て右がリセス、左がアンカーか。
真ん中が高壁って言うのは起きた時の受け答えで分かってたからな。
「で、今俺たちはスタッド村に向かってるんだな?」
「はい。そうです。もっとも、私は近いうちに旅に出なければなりませんが。」
え?どういうことだ?……あ、そうか。この国の状態を見たい的な事を言ってた気がする。恐らくそれ関連だろう。
「あ、そうそう、これ、デュアとソードホルダーです。」
「お、ありがとう。」
リセスがデュアとソードホルダーを渡してくれた。寝るときに外してたからな…ありがたい。
「それで、話を戻すが、リセスは近いうちに旅に出るんだな?」
「はい。この国全域を回るので、それなりに日数はかかるかと思います。」
「…ふむ。じゃあ、その時は俺もついて行って良いか?」
「え!?」
リセスが驚く。この申し出は予想出来なかったか?それとも…
「…まさか一人で行くつもりだったとかじゃないよな?」
「そうです。」
…あっさりと認めやがったよ。
「お前一人じゃ危険すぎる。仮にも王女なんだろ?危険な目に遭うのは絶対だと思って良い。もしもリセスに何かあったら…俺だけでなく、皆も心配する。
だから、ついて行くのは俺だけだと思うな。」
「それに、リセス一人で行かせて何かあったら、王様から処刑されても文句言えないしね~。」
「それを言うな。いい場面だったのに。」
まったく。高壁にもシリアスブレイカーの才能があるんじゃないのか?向こうの俊太の影響なのか?
…あれ?仮に高壁にシリアスブレイカーの才能があるんなら俺にも……まあ、気にしないで置こう。
「で、後どれくらいで着くんだ?」
「守が起きる前に訊いてたけど、もうすぐ着くらしいよ?」
「誰にだ?」
「黒服。」
「ハァ!?何でここで黒服が!?」
「だって、この馬車を運転してる人が黒服なんだもん。」
「ええええええええええ!?」
この馬車、黒服が運転してたのかよ!てか、黒服って馬車運転できるのな!
「割と早いよね。」
「城からはあまり離れないように移動してましたから…まあ、家出なので、少しは遠出させてもらいましたが。」
家出って言うと、そんなもんなのか?
そこからしばらく。スタッド村が見えてきた。俺はようやく帰ってこれた事に安心しつつ、スタッド村をしばらく見ていた。
…もうスタッド村は俺の第二の故郷みたいになってんな。
守とは対照的に、眠い作者。おやすみなさい。




