第百三十七話 これはおかしい?城の言い伝え!?
二話目。
「私は高壁守。」
「私はリセス・アンカーです。」
「同じく、リセス・アンカーです。」
「アング・アンカーだ。」
「アーク・アンカーです。」
『我が名はデュア…ちょっと待った。我の聞き間違いが無ければ名前が全く同じ奴が数名居るのだが。』
全員の自己紹介をさらっと済ませたが、デュアには思うところがあるらしい。
名前が同じ?そりゃそう…あ、そう言うことか。
「ああ。ここには数人、異世界人が混じっててな。厳密に言うと俺もだが…それは置いといてだ。
その異世界っていうのが、どうもこの世界とほとんど同じだが、その世界の人物の性別は、皆逆になってんだ。」
『……にわかには信じられない話が出てきたが、そこは良いとしよう。だが、もう一つ、確実におかしいところがある。』
「なんだ?」
まだ何かあったのか。何だってんだ…
『何故同じ顔をした人物が四人も居るのだ?朝食の時、一応黙ってはいたが、誰も何も言わないから驚いたぞ。』
ああ、それか…
「別の世界の高壁守…高壁と呼んでくれ。と、こっちの世界のリセスはそっくりさん、俺と別の世界のリセス・アンカー…こっちの世界の方をリセス、別の世界の方はアンカーと呼んでくれ。は、そっくりさん。で、リセスが俺とアンカーに、ティエスの実を食わせたら、こんな状態になった。簡単にまとめると、こんな感じだ。」
『………守…高壁…リセス…アンカー……………よし、わかった。大体の事情は把握した。』
大分間が開いたが、何とか把握はしたようだ。
…そう言えば。
「そう言えば、王様はデュアについて何か知ってるみたいな様子でしたが、何を知っているんですか?」
デュアは謎の多い剣だ。だが、先程の黒タイツの一件で、王様は何かを知っているような口ぶりだった。
「……お主こそ、自分を異世界人とか言っていたが、何なのだ?それを言うなら、こちらも答えよう。」
「寝てる間に連れてこられた。終わり。で、王様は?」
「………良いだろう。話すとしよう。この話は世間には知られていないのだが、この城に伝わる、ある話だ。
昔、この城を訪ねたある刀匠が居た。その刀匠は過去、幾つもの名剣を作り、世界的にも有名な刀匠だった。
その刀匠がこの城に来たのは、友人であるわしの父に会うためだった。いつもは父と会い、和気藹々(わきあいあい)と話を始めるのだが、
そのときだけは違った。刀匠の様子が、明らかに切羽詰っていたからだ。
そして言った。「この城の、誰も知らないところに案内してくれ。隠したいものがある。」と。
我が父はそれに応じ、この城の誰も知らない秘密の階段を降りた先にある、地下室へと案内した。
刀匠の希望により、我が父は隠したものを見せられず、刀匠に聞いたものの、隠したものが剣である事以外は分からなかった。
その後、父は刀匠の、「絶対に地下室を見るな。ただし、選ばれたものだけが地下室に入れるようになっている。
選ばれた者が来たら、隠した剣をその者に渡してはくれないだろうか。」という頼みを守り、父は秘密の地下室へは入らず、選ばれた者を待ち続け、
結局選ばれたものは来なかった…と言う話だ。」
……長い。やばい。眠い。
「それで、その剣が今守さんが持っているデュアだと。」
「そして、選ばれたのが守さんだったと。」
あれ?どっちがリセスでどっちがアンカーだっけ?
…まあ、どっちも同じだし良いか…眠い。
「…階段見つけたのは私だったんだけど。」
『選ばれたものだけが入れると言っていたな。貴様は選ばれなかったから入れなかったのだろう?』
「ああ、だから私は入る気になれなかったんだ。納得。」
俺も降りる気は無かった。でも、降りさせられた。この辺が選ばれた者と、そうでない者の差なのだろうか。…眠い。
「でも高壁さん。あなたはあなたたちの世界で、デュアに選ばれた者になってるかもしれないですよ?」
ああ、俺がこの世界でそうだから、高壁もあの世界ではそうだと。なるほど…眠い。
「何でもいいから、まず寝かせてくれ…眠い。」
「分かった分かった。じゃあ、部屋に戻って寝てて良いよ。お休み。」
「お休み~…眠い。」
「口癖かっ!!」
俺は高壁のツッコミを背中に受けつつ、部屋へと戻っていった。…眠い。
今回は長くなったなぁ…眠い。




