第百三十五話 黒タイツの目的?哀れなもんだ!?
三話目。
間に合ったああああ!!
「ヘッヘッヘ、そこの嬢ちゃん鋭いじゃねーか。一発で上に人が居るなんて、そうそう分かるもんじゃないぜ?」
と言いつつ、黒タイツは張り付いていた天井から落ちてくる。で、着地。
「貴様は何者だ!」
王様が黒タイツに指を指して訊く。まるでどっかのお芝居だな。
「ヘッヘッヘ、そうカリカリするなよ国王サマ。俺の狙いは別にアンタの命じゃないんだぜぇ?」
どこか鼻につく口調で、黒タイツが答える。
「では何が狙いだ!」
「ヘッヘッヘ、あんたも分かっているだろうに。俺の狙いはただ一つ…この城に眠る一本の名剣さ。」
この城に眠る名剣?なんだろう、凄く心当たりがある。
「何故部外者のお前がそれを…!」
「ヘッ、依頼主に教えてもらったんだよ。その剣を取って来いっていう依頼のな!」
何だ?デュアはそこまで有名だったのか?
「でも、この城のどこかにある地下室にあるって事しか分かってなくてよぉ、困ってたところを城の連中…お前らが教えてくれたんだよぉ!助かったぜぇ?」
「くっ…この入り口を守れ!」
王様の命令に、そこにいる全員が入り口の前に、封鎖するように移動し、武器を構える。
「無駄無駄ぁ!」
黒タイツは、上にジャンプし、天井を蹴ったかと思うと、封鎖を飛び越え、階段にダイブしていった。
…あいつ、大丈夫かな?階段はかなり長かったから、今頃アイツは…
「ぐへぇ!!」
階段の先から黒タイツのものと思わしき声が聞こえた。
どう考えても頭、階段にぶつけたよな?敵なはずなのに心配になってくるという…
「…皆の衆!階段を降りてゆけー!!」
王様の号令で、わーとその場の全員が階段を降りてゆく。
俺は列の最後に行った。何があったかは分かってるし、もう何も無いからな。
途中で、踏まれまくってボロボロになった黒タイツがいたが、俺はそいつを踏み越えて行った。
グエッとかいう声は聞こえなかった。
結果。何も無かった。まあ当然だ。
王様達が調べた結果、階段の先にはだだっ広い部屋と、傷のついた床、そして切られた鉄格子しか見当たらなかった。
さっき倒した魔物は消えていたようだ。後から聞いた話によると、魔物が消えたのは仕掛けだったとか。鉄格子も消える仕掛けなら良かったものを。
で、王様の考えによると、切られた鉄格子、傷ついた床から、例の剣はここにあったが、誰かに持ち去られたという結論に達したらしい。
ぴたりと正解しやがった…もう名探偵にでもなればいいのに…あ、そうすると行く先々で事件に遭うから駄目か。
外出するたびに事件に遭うとか悲惨すぎる。だから、王様は王様で良いんだ…あれ?何の話だっけ?
あ、そうだそうだ、あの黒タイツが剣を持ち出したと思われて、城にある牢屋に閉じ込められてんだ。
例の部屋とは別の、隠されてない地下へと続く階段の先にある牢屋に。ドンマイ。まあ、俺が持ってるけど。
…自首した方が良いのか?




