第百二十五話 人間輸送中?こんな時に雑談!?
一話目。
目がさえて全く眠れないため、執筆。
俺たちを運んでいる奴らの話によると、どうやら俺たち四人は皆、馬車の荷台に乗せられているらしい。それでいいのか王女の扱い。
誰かが見張りをしている可能性もあるので、俺は下手に動けない。
しかし、こうして考えていると、思う。
暇だ。
今俺にできる事は、気絶したリセスのフリをする事。しかし、それは要するに狸寝入りなので、どうしても頭の中が暇になってしまう。
何か今の俺にできる事はないんだろうか。もういっそ、目を開けてあたりの状況を確認したほうが良いのだろうか。
悩む。本当に暇だ。
とか考えてたらなんか眠くなってきた。最近日中に寝ることが多くなったからだろうか。
おや…すみ…
「よし。そろそろ着くな。」
どのくらい寝ていたのだろうか。ふと目が覚めると、そんな声が聞こえてきた。
もう着くのかよ!早すぎるだろ!確かに結構寝たかなとは思ったけどさ!
リセスは一体スタッド村に着くまでどこをほっつき歩いてたんだ?
あと、一応俺は寝たフリを続行している。こんなところでへまなんぞ出来るか…
「……ん…あれ?ここはどこですか?」
何でここで目が覚めちゃうかなぁーーー!!
恐らく、と言うか確実に今のはリセスだろう。起きるタイミング悪すぎです。リセスさん。
「…もう演技の必要も無いね。」
「そうですね。」
今のは恐らく高壁とアンカーだろう。
俺も演技はやめよう。こんなサスペンスやミステリーとかの死体役の気持ちが分かってしまう演技なんぞ、誰が好んでするか。
「リセスは気が付いたみたいだな。」
「あれ?皆さん?起きてたんですか?ここはどこなんですか?」
「ああ、守はさっきまで寝てたみたいだけど、皆倒れてる演技をしてたの。」
「そう。それで、ここはどうやら荷台らし…え?誰が寝てたって?」
「守さん。さっきまで俺達は作戦会議してたんですが、内容は覚えてますか?」
「…作戦会議?」
「やっぱり寝てたね。話しかけても返事が無いからまさかとは思ってたけど。」
「ご丁寧に寝言まで言ってましたしね。」
「寝言!?何て言ってたんだ!?」
「え~と、確か…「し、死ぬ…暇に殺されちまう…!」だったっけ?」
「どんな夢見てたんだよ!」
「守さん、あなたが言ったんですよ?」
「そうだった…」
夢の内容なんざ全く覚えちゃいねえ…夢の話って、支離滅裂で、見た本人もツッコミたくなるようなこともあるしな。
そして、忘れやすい。
おっと、そろそろ本題に入らないと。
「じゃあ、話を戻すぞ。作戦会議の内容を話してくれ。」
「ええ。これからの作戦が決まったよ。」
「その作戦とは…」
アンカーがもったいぶる。
「作戦とは?」
リセスがまさしくテンプレな返しをする。
「成り行きに任せろ作戦。」
「それ作戦じゃねえ!」
結局行き当たりばったりかよ!
「おい、荷台の方が騒がしくないか?」
「まあ、結構な時間が経ってたからな。そろそろ気絶してた王女様が起きてるんだろうよ。」
…少し騒ぎすぎたようだ。一応小声で喋り、リセスもそれに合わせてくれたが、さすがにうるさかったらしい。
「…では、今度は私が気絶した後のことを話してくれませんか?今度は静かに。」
「分かった。」
俺たちは、リセスにここまでの経緯を話し始めた。




