第百二十話 話についていけない?しまったつい!?
二話目。
「それは俺たちに女になれと!?」
「そんな無茶、聞けるか!」
俺とアンカーは、当然のように反論する。
「大丈夫。私も後で同じ事をしますから。アンカーさんがあっちの世界に戻って、外出したいなんて思ったら、私と高壁さんがティエスの実を食べます。」
「え!?私も!?」
「……リセスさんの覚悟は分かりました。良いでしょう。」
「え?俺は?俺には何の得も無いんだが…というか、そんなら高壁だけで良いんじゃ…」
「えっと…なんで私もティエスの実を食べるみたいな流れになってるの?」
リセスとアンカーは自分同士で話が進んでいるが、俺と高壁は全く話についていけない。
何で俺たちまで巻き込まれてんの?
「守さん、高壁さん、ここは一つ、無償のボランティアだと思って、どうか…」
「「なんでだよ!!」」
無償のボランティアで納得できるか!
「ええい、つべこべ言わずに食べるが良い、です!」
「んぐ!?」
そう言うと、リセスはどこから取り出したのか、手に何かを持って、それを俺の口に突っ込んできた。
俺はつい、口の中のものを咀嚼し、飲み込んでしまった。
こ、この味は…忘れもしない…!
「ひへふほ…ひ…(ティエスの…実…)」
バタ
俺は自身が倒れる音を他人事のように聞き、意識を手放した。
俺は目が覚めると、場所の確認もせず、すぐに自分の体を見た。
すると、リセスの企み通り、俺は女になっていた。
「…はぁ…」
嫌なんだよな~この体。
ナンパされるわ、そのあと戦闘になるわで…
「ドンマイ、守。」
横には高壁が居た。口調で分かる。
「あ、起きましたか。いろいろとすいません。後で何らかの形で埋め合わせをするので、許してください。」
今のはリセスだろう。口調で分かる。
「…はっ!俺は一体…な!?何ですかこれは!?」
今のはリセ…え?さっきのがリセス?だったら今のは…?
…まさか…
「あ、起きた?アンカー。」
やっぱりか!やっぱりその突然起き上がったリセス(?)は、アンカーだったか!
「え?えっと…ってええ!?その人は誰ですか!?」
起きたアンカーは、俺を見て驚いている。
「俺だ、守だ。」
「ええ!?本当にそっくりですね!」
「お前も人のことを言えんのだがな…鏡を見てみろ。」
「鏡…?うわ!?いつの間に回りこんだんですかリセスさん!?」
鏡を覗き込んだアンカーが驚く。
「私はここですよアンカーさん…」
「ええ!?じゃあここに居るのは…」
「それは鏡で、そこに映ってるのはアンカーだよ。」
「ええええええ!?」
リセスと他数名の部屋でのこの騒動が収まるのは、しばらく後だった。
何かこのパターン多いな…




