第百十二話 アレは夢?回想入りま~す!?
三話目。
「……はっ!…あれ?」
目が覚めると、そこは俺の部屋だった。窓を見てみると、真っ暗になっており、今は夜である事が分かった。
全て夢だったのか?夜眠れずに散歩した事も、世界の歪みに吸い込まれた事も。
部屋を見回してみると、あの時とは違う点に気づいた。
フォルフが居ない。俺が寝る部屋は、ルーマのときと変わらず、フォルフも寝ている。
が、そのフォルフが居ないのはおかしい。この前のように散歩にでも出かけたのだろうか。
しかし、変な夢だったよなぁ。皆の性別が逆なんて…何とか戻ってこれたから良いけどさ…
ん?待てよ?
まさかと思い、ポケットを探ってみた。すると、
「…俺は寝ながら能力でも発動したのか?」
夢に出てきた、世界を移動する機能を付けた障壁が出てきた。形も全く同じだ。
もちろん、触ると性転換する石が入った障壁もあった。
アレは本当に夢だったのか?それとも…
ガチャ
「お~い!起きた~?」
ドアが開いて、リセスが来た。さっきのフラルみたいな口調だが、リセスだ。
「ああ、ちょっと変な夢を見てたがな。」
「変な夢?」
リセスが首をかしげる。
「ああ。なんか、夜に散歩してたら皆の性別が違う世界に行くと言う夢でな…」
「…それ、夢じゃないよ?」
「え?」
「それ、夢じゃないよ?」
「え?」
「それ、夢じゃないよ?」
「あれ?守さん起きてたんですか?」
「え?」
無限ループに入ろうとしていたところに、リセスがもう一人現れた。
リセスが二人居る…おかしいな、幻覚でも見てるのか?
「…ひょっとして、私がリセスだと思ってるんじゃないよね?」
「え?違うのか?」
「まあ、私達は似てますからね…」
どういうことだ?夢じゃないと言い張るリセス、後から出てきたリセス…夢じゃない?まさか!
「お前は俺か!」
「ちょっと違うけど当たり!」
「どっちですか!?」
あたりでオーケーだと思われる。
「まあ、とりあえず、あの後何があったか話してくれないか?ぶっちゃけ今何が何だか訳分からん。」
「いいよ。じゃあ、話をしよう。あれは今から…」
守の説明が始まった。
「ちょ!?何やってんですか!?」
私たちの目の前に現れた、殺気を放つ男は、突然守(男)をアッパーで吹っ飛ばした。
「簡単に言うと、罰だ!」
「何の!?」
何に対する罰なのか分からない。
「というより、あなたは彼の何なんですか?」
今聞いたのはギーナだ。
「父親だ!」
「実の息子を殺す気ですか!?」
…似てる。この殺気、この雰囲気、母さんに似てる…
「なに、あいつなら死なんよ。障壁で自分を受け止めるに違いないからな。」
「……気絶しながら、か?」
ギーナが上を見ながら言う。
「は?気絶?…うお!?マジかよ!?」
自称守(男)の父親も、それに気が付いたようだ。
「え!?ホントにどうするの!?」
青髪ロングヘアーの誰かも言う。本当にこの人誰?
「も~ど~でもい~んじゃない~?」
フラル!それは投げやりすぎるよ!!
「私に任せて!」
ここは一つ、私が障壁で受け止めるしかない!
守(男…もうカッコは要らないか。)の落下地点と思われる場所に、柔らかい障壁を出す。
ちょうどそこに守が落ち、何とか死人を出さずに済んだ。間に合って良かった~。
「……ねえ、あなた何者?」
その声に気が付き、振り向いてみると、驚いた顔をした青髪ロングヘアーと、自称守の父親が居た。
夢オチではありません。そう思った方には…
やっぱり何もありません。




