第十一話 ギーナの両親の名前?何なんだお前は!?
「そういえば、ギーナの両親の名前聞いてなかったような…」
そう俺が独り言を呟くと、俺以外はピタッと動きを止めた。
ギーナがからかわれているさなか、突然思い出したのだ。
この三日間世話になっていたが、全く聞かなかった。
しかし、お互い名前を知らなくとも、意外と普通に暮らせるもんだなあ、と少し場違いなことを考えてみる。
「「「ああ~~~~!!!」」」
ギーナ親子三人は突然大声を出す。んな大きな声出さんでも聞こえるってのに…
「もう!母上も父上もなんで今まで名乗ってなかったの!?」
「い、いや…その…」
「ギ、ギーナちゃんがいきなり怪我した、それも男を連れてきたから…」
二人がものすごく焦っている。
「そ、そんなことより、俺はギファードだ。」
「私はガーニャ。」
すごく今更だ。まあいいか。
「そろそろ出発します。」
「あ、ああ。」
俺たちは出発の準備をした。
「いままでお世話になりました。」
「ああ。達者でな。」
「いつでもまた遊びに来て良いわよ。」
俺たちは出発の準備を終え、玄関先でギーナの両親に別れを告げた。
しかし、すぐに村を出ることは出来なかった。
なぜなら、
「そこのニーチャン、ちょっと来い。」
なにやらガラの悪い大男が突っかかってきたからだ。
それだけじゃない。ギーナの家を出てからなにやら恨めしいような視線が気になっていた。一体何だってんだ…
ところで何故俺なんだ?普通ギーナあたりを呼びつけると思うんだが…
「さあ、来い。」
俺は訳も分からず、連れて行かれた。
「よし、ここなら大丈夫だろう。」
俺は路地裏に連れて行かれた。こういうときはこの世界でも定番らしい。
連れて行かれている間、俺はどんぐりが転がる童話で今の状況を表そうなんてくだらないことを考えていた。
しかし、何故連れて来られたのか、とか、なんで見られてたのか、などの他の疑問が気になってまともに考えられなかった。
「貴様…よくもギーナ様と歩いてやがったな…!」
「え?歩くことって悪いことだっけ?」
「しらばっくれるな!まさかギーナ様の家に泊まっていたとかいううらやま…けしからん奴とはお前のことか!」
ギーナ”様”?というかなんでギーナの家に泊まっていたことを知ってるんだ?
「お前は何なんだ?」
「俺はギーナ様ファンクラブの会員ナンバー14!マソーだ!」
え!?ファンクラブなんてあんの!?しかも14!?少なくとも14人はいるの!?
「そんな組織初めて聞いたぞ…」
「まあ、このファンクラブは会員を除けばごく一部しか存在を知らず、噂にもなったことが無い。その上本人も知らないしな。よそから来たお前が知っている訳が無い。」
まじかよ。容姿は確実に良い方どころじゃないほどだとは思っていたが、まさかファンクラブが自然にできるほどとは…
あ、替え歌が出来た。
明日からGWです。作者は休みのため、たっぷり更新が出来るかもしれません。