魔王の章 序幕
プロヴィデンスに本部がある魔法使い協会。
いわゆる魔法ギルドである。
その本部の一室に壮年の男性職員が詰めている。
部屋には受信用の水晶玉が置いてある。
男性職員は、水晶玉から届いた情報を羊皮紙に書き付けている。
それは、魔法使いランクの新規昇級者の目録だ。
個人ごとの魔法使いランクは、杖の神ガストランディアが審査し決定する。
それを、魔法ギルドが記録し個人に通達しているのだ。
新しく届いた情報をさらに、書き付ける。
カイン・カウンターフレイム、第十階位“運命”
アズ・リーン、第四階位“皇帝”
アベル・イノセンス、第十二階位“刑死者”
ここまで、書いて男性職員は久しぶりの第十二階位への到達に驚く。
これは大ニュースになるぞ、と呟く。
アーサー・カリバーン、第十一階位“正義”
なんだか、急に十階位以上になる魔法使いが増えたな、と男性職員は思う。
新たな世代の台頭か?と笑う。
その笑みが次で強張る。
フェルアリード・アメンティス、第十三階位“死”
六番目の第十三階位到達者の登場に男性職員は、パニックを起こして部屋を飛び出した。
無人の部屋に、書き残されない情報が届く。
レイドック・ダスガン、第二十階位“審判”
誰も気付かないうちに。




