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カインサーガ  作者: サトウロン
炎の王の章
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砂の王国04

ギルドに着いた俺を待っていたのは昨日の三人だった。

金髪の戦士。

青い魔法使い。

銀の髪の女性冒険者。


「今、使いのものをやろうかとおもってたんだよ」


マスターは、俺を見てそう言った。


「て、ことは」


「ああ、例の依頼をこなすパーティーが揃った」


まさかこんなに早く集まるとはな、とマスターは嬉しそうに言う。

いならぶ 面子をみて、疑問がおこる。


「こいつらって三人パーティーなのか?」


相好を崩すマスターに、小声で俺は尋ねる。

結構、重要なポイントだ。

組んでいるやつらは、それぞれの連携やらタイミングやらを把握しているだろう。

そこに異分子が入れば、いかに強いパーティーでも実力を発揮できない。

だが、マスターの言葉は俺の予想を裏切る。


「いや、全員単独の冒険者だ」


聞けば、あのサバクオオカミを全員が一人で倒したのだという。

しかも、昨日。

順番的には俺がトップだったらしいが、続々と討伐報告がきてマスターはひどく驚いた、とのことだ。


「 とりあえず、自己紹介でもしたらどうだ」


マスターの言葉に頷き、俺は三人のもとへ向かう。


「俺はカイン。軽戦士で低階位の“剣”の魔法を使える。前衛メインだ」


俺が口火をきると、金髪の戦士が引き継ぐ。


「私は、カリバーン。騎士だ。“符”の中階位まで会得している。壁はまかせてくれてかまわない」


青いローブの魔法使いが続ける。


「僕はアベルといいます。純魔法使いで、ある程度高位の“杖”魔法を使えます。もちろん完全に後衛ですよ」


最後に銀の髪の女が声を出す。


「わたしはルーナ。“杯”魔法を使う神官です。基本後衛の治療職ですが、ある程度前衛も可能です」


どうぞよろしく、と銀の髪ーールーナは締めた。


この世界の魔法は、4つの種類と5つの属性に分けられる。

この4つの種類というのが、自己紹介の際に話した剣、符、杖、杯のことだ。


それぞれ特徴があり、剣の魔法は肉体強化をはじめとした“味方を強化”する系統の魔法だ。


反対に符の魔法は“敵を弱体化”する。


そして、杖の魔法は“魔法による攻撃”を行う。


最後の杯の魔法は“肉体、精神の治療”をする。


また、魔法には5つの属性がある。


地火水風闇の5つだ。


4つの種類を魔法の器とし、5つの属性で器を満たすことで魔法が発動する。

その組み合わせは、攻撃、回復などの他に補助、探索、状態異常など膨大な数にのぼる。

その中から自分にあった魔法のスタイルを見つけ出すことが魔法使いへの第一歩なのだ。


自己紹介を終えた俺たちに、マスターが話しかけてきた。


「どうだ。気が合いそうか?」


「そんなこと」


やってみなきゃわからない。


「やってみなきゃわからない、だろ?」


そう言いながらマスターは、一枚の依頼書を差し出した。


「これは、サバクオオカミの群れ討伐依頼!?」


「ああ、そうだ。大発生したサバクオオカミの巣が発見された。手始めにその巣に行ってサバクオオカミを討伐してほしい」


「これは、例の依頼とは別ってことか?」


「まあな。こっちとしても連携不足で本チャンの依頼に失敗されちゃあ、依頼人に顔がたたねえからな」


確かに、大事な仕事だ。

こっちとしても失敗したくない。


「俺はこの依頼、受けたいと思うが皆はどうだ?」


「私は問題ない」


「僕も文句ないです」


「わたしも構いませんわ」


それぞれの返事を受け、俺たちはサバクオオカミの群れ討伐の依頼を受けた。


「ところで、カイン。お前がパーティーリーダーでいいのか?」

急にマスターが話をふってきた。


「なんだよ、いきなり」


「だってお前が全部仕切ってたじゃねえか」


「たしかに」


「たしかに」


「たしかに」


「いや、それはそうだが。俺にそんなつもりはない」


「ふむ。わたしはさっそく討伐に向かいたいのだが。どうだリーダー?」


「賛成です。被害がこれ以上でないよう討ちにいきましょう」


「さあ、善は急げと言います。すぐに参りましょう」


あっけにとられる俺をおいて、三人の仲間はギルドを出ていった。


「なんていうか、う~んと、アレだ。いいパーティーだな」


マスターのフォローが、胸に染みた。

今まで、単独行動をしていた奴にいきなりリーダーやれ、とか無茶なことをいうよな。

俺以外の三人のほうが、人を使うのに慣れてそうだったが。


そう言うとマスターは「だから、お前がリーダーやらされてるんだろ?」と呆れたように言った。


「あ」


納得した。

心のそこから、納得した。


「ところでいいのか?お前のパーティーメンバー、まだ待っているみたいだが?」


ギルドの外から物音がしていた。

あの三人だろう。


「待ってろ、すぐ行く」


俺は外へ向かって駆け出した。



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