↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
12/15

第11章  さて、その成果は…

 シエルが一体どんな暗示をかけられたのか?

 ジーウの好奇心を適度に刺激したらしい。

 訓練終了後、ジーウはシエルにしつこく問いただした。



「僕が見ているんじゃない。これはアンジェたちの視界だから、僕が落ちる心配はない」

「はっ?」

 なんだそれ?ジーウの顔がそう言っている。

「だから…そうなんだってっ」

「意味がよくわかんないんだけど?」

「ですので、これは自分が見ている景色ではない。人の見ている景色である以上、自分にはなんの関わり合いもない…という暗示をかけさせていただいたのです。

 それを能力をシエルさんが開始したと同時に、その暗示が発動するように」

 一瞬の間。ジーウが大きなため息と共にこうのたまった。

「情けねぇ……」

「うるさいなぁっ!!」

 そう――仕方ないのだ。だって怖いんだから。



 しかし能力が発動していなければ、高所恐怖症のままだ。

 ちょっと試してみたくなって――窓の傍に近づいて――やっぱり絶叫する羽目になった。



◆◆◆



 一時的な沈静化とは言え、『アンフェール』の『ブルゾス』が完全に殲滅されたわけではない。

 『アンフェール』は自然発生の『不浄地』だ。

 何もしなければ、『ブルゾス』は溜まってくる。



 この日、シエルの元に、教官であるクリスから緊急な用件があると『アンフェール』の「門(ゲート)」前に呼び出された。



「中に人が入ったままもう3刻(3時間)も出てこない?!」

 呼び出された内容を訊いて、シエルが驚き、一緒についてきたカトリーヌと顔を見合わせた。



 「専学師」コース(大学でいう院生)の准士5人が、『アンフェール』調査に中へ入ったのだという。

「ちょっと待ってくださいっ!!それは認められてはいないでしょう!?」

 オマケでついてきていたジーウが教官のクリスを責める。

「私も『アトスポロス』のことは知っているわ。でも、そのうちの1人が「リレック」なのよ」

 リレックとは、カトリーヌ、アントンと並んで、『リュケイオン』でたった3人しかいない『第3級 (トゥリトス)』ランクの『アトスポロス』だった。

 だがいくら『第3級』ランクのリレックがいるとしても、『アトスポロス』以外の人間が『アンフェール』内に入ることは厳しく禁じられている。

「だからあなたにこうして来てもらったのよ、シエル。

 『ピュグマリオン』たちを使って、リレックたちを助け出して欲しいの」

「はい、それはもちろんです」

 シエルが頷くと、ジーウがシエルを止めた。

「待てシエル。これで都合よくお前が助け出したとして…だ。もちろんこれは『リュケイオン』に報告しますが…よろしいですね?クリス教官」

 ジーウに指摘されたクリスの表情から、一瞬で感情が消え失せる。

「ま…待って頂戴……」

 『リュケイオン』に知られれば、当然それを許可したクリスは教官の職を失うことになるだろう。

「それだけのことをして、こうしてシエルとカトリーヌが巻き込まれるんです。

 あなただけ助かろうとか思わないでくださいね?」

 驚く程ジーウが凛々しく見える。

「わかったわ……」

 クリスが観念したことを受けて、ジーウがシエルに頷いてみせる。



「アンジェ、手を……」

 アンジェが右手をシエルに差し出した。

 シエルは瞳を閉じながらその手を取る。

 そして集中を始めた。







評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。