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精霊という物

------西の洋館 レンの部屋


気が付くと俺は見知らぬ天井を見つめていた。オレンジ色の光に照らされ淡く色づく白い壁。

身を起こすと自分が寝ているのはベットの上だと気が付く。腹の上が妙に重い。

首を回すと宿屋の平均的な二人部屋ぐらいの部屋にいる事が分かる。

ここは一体どこなんだ、いった……


「いつまでも訳の分からない事考えるな!バカっ!」


ベットの横に居たユナに後頭部をはたかれる。ペチっと軽くだがこれはこいつの力が不足してるからだな。

抵抗はされにくいが戦闘ではデメリットだな。どうにかして早急にユナを堕として力底上げするか?

いや、こいつは折角魔法を使えるんだから魔力素質をあげた方がいいか。


「おいユナ勝手に人の思考読むんじゃねぇよ。つーか何で読めた」


「それは、こう、音波をいい感じにああして……」


「意味が分からん」


「レン…途中から声に出してた……だから…聞こえてた」


ひょこっと布団の中から出てきて抱きついてくる。少し汗を掻いていて少し血色の良くなった首筋に髪がくっついている。

暑いなら出てればいいのに。


「ちょっとノイ!?わざわざ人がオブラートに包んで言おうとしてたのに……!!それよりアンタなんてとこに居んのよ!離れなさい!!」


「べつに…ユナに言われたくない………レンは私を大事にしてくれる…私はレンが好き……だからくっつく…なにかダメ?」


「いーや、なにも悪くないぞ。ノイは小さくて軽いから別段負担にもならんしな」


右手で耳と頭を撫でる。「うにゅ…ぅ~」っと声をあげ体をすり寄せてくる。

もう髪が乾いてる、元の体温が低いからすぐに冷えるのか?いやにしても乾くの早すぎだろ。


「で、ユナもう日は落ちたか?」


「とっくに落ちてるわよ。アンタ昨日起きなかったし戦闘陣だっけ?あれの配置も終わったわ。にしても不思議ねあれ、四隅に置くと体力と魔力が目視化できるようになるなんて。あれ緑のゲージが体力で紫が魔力でしょ?」


別に昨日は起きなかったわけじゃないけどな。寝たふりしてやり過ごしてただけ、夜になったらシエルのとこ行って色々してきたしな。まあ言える範囲であればベットに押し倒したり、後ろから抱きしめて耳を甘噛みしたり、向かいながら抱き合ってキスしたりだな。


「そうか。んじゃ行ってくるかな。お前らはここで待機な」


「しょうがないわね。待っててあげるわよ」


「うぁ~……行きたいけど…レンが待ってろって…言うなら待ってる」


「いい子だな。よし行ってくるわ」




------墓場 北エリア(奥)


居る場所は前回と変わりなしか。装備は……白銀剣に白の鎧ってとこか?そこそこな装備か。

武器破壊は望めそうにないな。鎧破壊は左わき腹に右足の装甲、両肩に胸部装甲が出来そうだな。

となると精霊は……水が望ましいか威力より手数が必要だしそれに杖のおかげでそこそこ火力もアップするしな。出して憑依させてから挑むか。


「アーリア・ルエラ・リア・セイルーン」


杖を地面に突き刺し右手をに翳しながら唱える。

右手のガントレットに描かれた魔方陣と杖の水晶が蒼く光る。

ここから詠唱のタイプが変わるんだよな。


「曰く清く、曰く穏やか、曰く荒々しい水よ、我が身を脅かす魔なる物をその御魂により清めろ」


左手の魔方陣が紅く光りだす。

さて、呼び声に応じてくれるかな?


「水精霊、アクア・エリス召喚」


杖の下の地面がひび割れ出し水が漏れだす。

徐々にひびが広くなって行き漏れ出す水も多くなる。

漏れ出た水は一か所に集まり人の形を作り上げる。

スラリと伸びた手足、豊満な胸、キュッとしまったウエスト、程よい感じの臀部、グラマラスという言葉がふさわしい体つきだろう。だが、たとえどんなにスタイルが良くてもこのままじゃ人型スライムにしか見えないから欲情もしない。

徐々に肌色に染まっていき周りをゆったりとした水色のローブが包む。


「やや、久しぶりだねぇ。長らく呼んでくれないから不安だったよ?うん」


深い青の瞳を開け長くのびた水色の髪をさらりと靡かせながらそう告げるのは古代精霊アクア・エリス。遥か昔に生まれた戦闘用精霊。精霊を呼ぶための石版と契約するに見合った代償をささげて契約を交わさなければならない精霊の中でも気難しい精霊だ。

それに自分が気に入らないと契約をしないらしい俺は一発だったけどな。

まあその代わり一度契約を結べば圧倒的な力を俺だけに貸してくれるってのが古代精霊の利点だよな。

唯一俺だけっていう優越感もあるしいいよな。


「聞いてるかい?はぁ……君は契約した時から何事も軽く受け流そうとしている、君の悪いところだよ?」


腕を組み目尻を釣り上げてご立腹のようだ。

少し機嫌とっとくか。嫌われるのもやだし。


「あぁ、ごめんごめん。久しぶりに見たから見とれてた」


一瞬目を大きく開くとすぐに元の目つきになり依然として毅然とした表情で叱ってくる。


「っ!…まったく君はどうしてそんなホイホイと睦言が出てくるのか理解に苦しむよ」


「?別にお世辞でも何でもないぞ?お前は実際綺麗だし」


「またそういう事を言って。そういう言葉は私みたいな奴より他の人に言えばいいと思うよ?」


「私みたいな……ってお前なぁすぐに自分を下卑するなよ。お前は十分綺麗で魅力的だ。それにこの言葉は俺の本心だ」


「くっ!……そんな事を言われたらその、あの、ときめいちゃうじゃないか……」


「お?俺はうれしいぞ?俺にときめいてくれるってことは俺に少しでも気が引かれてるんだろ?俺だって嘘偽りなくお前の事が好きだしお前も俺が好きなら全力でそれに応えたい」


そう言うとアクアは顔を赤くし俯く。その後胸に手を当て鼓動を確かめるように何回か手を動かす。

正直、手で胸を押しつぶしてるからふにょんといった感じに胸の形が変わり手を動かしているからその形もちょくちょく変わる。

その、申し上げにくいのですが……………………最高にエロいです。


「うっ!まったくプレイボーイは違うね。心が君により一層引かれたよ。ぜひいつまでも一緒に居たいものだね」


「うん。俺もずっと一緒に居たいよ…………俺と一緒に居てくれますか?」


少し身を屈め上目遣いでアクアを見上げ少し相手の様子を窺うような声色で告げる。

こいつは確か母性をくすぐられるようなのがタイプだった気がする。これでとどめだ。


「!!!!」


さらに胸を抑え顔を逸らすアクア。その後すぐに俺に向き合うとグッと俺を抱き寄せる。

おおぅ、こうとっても柔らかいものが俺の顔を左右から挟んでくる。ふにょんふにょん、ふにゅんふにゅんって感じで左右から攻めてくる。でもきちんと口と鼻は出してくれてるから息苦しくない。

同時にアクアの血色のいい健康的な手が後頭部を撫でる。


「うんうん。いつまでも一緒に居よう。君が戦うなら喜んで全力を貸すし、いやどんな敵が来ても私が守ってあげるから。君がいるなら私は神だって魔神だって殺せる気がする…ううん殺せるよ必ず」


「本当に?」


出来る限りの甘えたようないつもより少しだけ高めの声を出し尋ねる。

そのあとすぐに子供のようにアクアの背中に手を回し抱きつき恥ずかしがるように胸に顔を埋める。

うっわ~、うわ~。俺ホントこの声だけはいつ出しても気に入らないわ。

つーかこんな態勢できんのもこいつが若干浮いてるからだよな身長同じくらいだしまた浮いてるよこいつ。にしてもこいつ良い匂いするよな。


「本当だ。いつまでもずーっと永遠に永久に一緒に居て君に協力するし君を守ろう。戦闘以外でも頼ってきてくれてもいいぞ?例えば今みたいに甘えてきたり、な?」


「そう?なら早速で悪いんだけどいつもみたいに杖に憑依して?」


「わかった。ロングブレードだな任せてくれ。その代わり終わったら…その……」


「うん。分かってる。キスでしょ?忘れてないよ」


「ならいい。それじゃあくれぐれも剣が折れるような事だけは避けてくれよ?とっても痛いから」


アクアは少し名残惜しそうに俺を離すと杖に歩み寄り両手で杖を地面から引き抜く。

辺りを一瞬光が包み目を開けていられなくなる。

光が収まり目を開けると杖ではなくシンプルな水色の片刃の刀身に凝った装飾の銀の柄という美しいロングブレードが一本浮いていた。

さてさっきの光デュラハンはこっちに気が付いてるはずだ。

先手必勝だし細工でもしかけとくか。

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