頼りになる仲間……なのか?
------墓場 北エリア(奥)
う~~ん。何かが歩いてんのは見えんだけど、何かまではわかんねぇな。
「ユナ、あそこにいるのどんな感じの装備してる?」
「えっと、音波の反響具合からして鎧に剣ね」
「ノイあってるか?」
「ぁ~……うん…あってる」
うわ~、マジで?明らかにデュラハンじゃん。こんなとこにいる騎士とか明らかデュラハンじゃん。
はぁ、準備しに帰るか。デュラハンとなるとあいつのとこ行かないといけないのか憂鬱だ。
でもあいつのとこ行かないと戦闘陣作ってもらえないし、でも予想以上に時間掛かるし。
考えてても仕方ないか。
「二人とも、気がつかれないうちに一旦戻るぞ」
「分かったわ」
「ぅ~…りょーかい」
------城下町 入口
「どうしたのレン?入らないの?」
「今回の目的地はここじゃないんだ。東の森の中の家だ」
「ぅ?……どーして?」
「デュラハン用に戦闘陣作らないといけないから」
「戦闘陣?何それ」
ユナとノイが頭の上にクエスチョンマークを浮かべて小首をかしげている。
なんかノイは抱きしめたくなる可愛さでユナは腹パンしたいな。なんかユナは無性に虐めたくなってくる。
「知らないか。戦闘陣っつーのは四つの点を決めて特定の物を置くんだよ、すっと不思議な事にその四点を結んだ四角形の中は不思議なルールが出来てな、まあ戦闘に関しては実際に体験するのがいいだろ」
「よくわからないけどそれを作りに行くのね」
「ああ、結構遠いから俺一人で行ってもいいぞ?二人は屋敷で休んでてもいいし」
「一緒に行く………レンと一緒がいい」
右腕に抱きついてくるノイ。今すぐにでも甘やかしてあげたい。
膝に乗せてお腹を撫でたい。耳を甘噛みしたい。うなじに噛みつきたい。急に胸に手を置いて驚かせたい。足を……ちょっと取り乱したな。
「わわっ私も一緒に行くわよ!!」
左腕に抱きついてくるユナ。そんなに顔を真っ赤にするならやるなよ。まあ嫉妬とか焦りからなんだろうけどなぁ。無性に泣かせたい。泣くまで頬を引っ張ったり叩いたりしたい。最終的に赤くなった頬を撫でて恥ずかしがったところを思いっきり馬鹿にしたい。鳩尾をなぐっ……取り乱したかな。
「はあ、じゃあ行くぞ」
------東の森 魔術師の小屋
東の森の少し奥らへんにあるログハウスのドアを開け中に呼び掛ける。
正直こいつめんどくさいんだよな。要求してくる事は簡単なんだけどな。
「おーい。暇かー?」
奥の方からトトトッと音を立てて駆けてくる俺の目線ちょうどに頭のてっぺんが来る女。実際はとんがり帽子の先端なのでそれを取ると俺の顎下ちょうど位の身長になる。
「やっほ~、レン。そろそろ来る頃だっ!うわっ!」
「どぉりゃぁ!!」
右腕で持ち上げ、投げ、腹に右ストレートを叩きこむ。ユナは事情を知らないから口を開け驚愕している。ノイは無表情のように見えて少なからず驚いている。
ゴロゴロと床を転がる女。
「ちょ、ちょっとレン何してんの!?あんた大丈夫?」
女に駆け寄るユナ。意外とやさしいとこあるんだな、それとも同族の気配を感じ取ったか?
女は顔をあげるとトロンと垂れた瞳で甘えるような声色で言う。
「あはぁ、久しぶりだぁこの感覚ぅ。さすがレンだぁ気持ちいいよぉぅ」
「へ?」
「ふんっ!!」
あくまでもユナに当てないように気を付けながら全力で女を蹴りつける。
「きゃぅ!」と可愛らしい悲鳴をあげてさらにゴロゴロと転がって行く。
「はふぅ、いたぁい。きもちいぃ、もっとぉ。レンもっとぉ」
「これで、しめーだ!!っ!!」
こいつの性癖も困ったもんだぜ。
無音の気合いと共に右腕で女を掬いあげ机に叩きつける。
ズドンッと豪快な音を立てて女は机に背中を打ち付ける。
「あぅんっ!やっぱりぃ自分でするより断然気持ちいいよぉ」
無言で女の服の裾を胸の下まで捲る。彼女の腹にはいくつもの痣が出来ていた。
こいつまたやりやがったな。
「シエルお前またやったのか?あれほど自分でやるんじゃねぇっていったのによ」
シエルに覆いかぶさり丁寧に腹の痣を撫でる。
何でへその周りに痣が多いんだ?と俺はへその周りを人差し指でなぞりながら思った。
「うぅん。だってぇレン最近全然…ぁん、来てくれなかったしぃ。それにこうしておけばぁ優しくしてくれるでしょぉ?」
まあ、ただ腹なぞってるだけでこいつ面白いくらいにピクンピクンしてるしな。面白くてついやってしまう。
そういう事か。用はこいつ欲求不満なんだな。いつもより痣が多かったのはそれが理由か。
「俺にも用事ってもんがあるんだよ」
こう、シエルの耳元でささやく。顔を離す時にフーッと息を吹きかける。
「やぁ、耳に息掛けないでよぉ。はぁん、ぁっんっ」
「まぁそういう事なら、今回は少し長めに可愛がってやるよ」
言い終えるのと同時に腹に舌を這わす。
鳩尾からへその上、一度離して脇腹を舌でなぞる、そして軽く噛み痕を残す。
「ぅぁん、ぁあ……んっ…あぁんっ。気持ちいいよぉ」
もう一度へその上に舌を這わすとそのまま下にスライドさせる。へその周りの痣を丹念に舐める。
平行してシエルのもっさりしたズボンを少しばかし下にずらす。チラリと見える白の下着が色っぽい。
俺は水色が好きだけどな。
「ひゃぁ、おへそのまわり舐めるの反則だよぅ。んっぁっ(初めてズボン下ろされちゃったよぉ。何するんだろう?)」
舌を離し、顔を離すと次のターゲットを定める。次のターゲットは腹ではなく顔。
体を動かし見つめ合う体勢になると赤く上気した頬や薄く小さめの桜色をした唇、広めのおでこ等に口づけをしていく。
「んっ、どうしたの?いつもはキスなんてしないのにぃ。別にいいけどぉ(あぁ~幸せだよぅ)」
そっと右手で先ほどズボンをずらし露出した下腹部を撫でる。
程よく肉が付いていてプニプニしている。
「お前少しくらい運動しろよ。腹まわりに肉ついてんじゃねーか。だっらしねぇ」
出来るだけの蔑むような目と馬鹿にしたような声でそう告げる。
ついでに少しだけ肉をつまむ。急にシエルの体が強張る。
「んっ…あ、その、だらしない女はいや?」
「嘘だよ、俺はお前ぐらいのが一番好みだ。これくらい付いてた方が触り心地がいいし何より可愛いな。このプニプニした腹も、もちもちのほっぺたも全部お前らしくて好きだぜ?」
笑いかけ、つつきながらそう言うとほっとしたように全身の力が抜ける。
ホント可愛い。さすがにこいつの性癖まではそう思えないけど。
「ならよかった」
「じゃあ、そろそろラストスパートだな」
そう言い、シエルのズボンと下着に手を掛けたところで正気に戻ったらしいユナが全力で止めに掛かってくる。俺の手を全力で引っ張ってズボンを下ろさせないようにしている。
「ちょっと!!人の前で何しようとしてるのよ!!」
「何って、そりゃ決まってんだろ、せ……」
「言わなくていいわよ!ノイも止めなさいよ!!レンが取られてもいいの?」
その一言でノイは急に俺に飛びかかってくる。くぅ!ユナと違って力あんなこいつぅ!!
もう止めとくか。
「たくっ。わーったよ。シエルここに来た用件は分かってんだろ」
パッとシエルから手を離し、二人を振りほどく。
「うん………分かってるよ。戦闘陣でしょ?」
少し不機嫌、残念そうにしながら机から地面に着地するシエル。
はぁ、こいつも分かりやすいなぁ。ちゃーんとフォローしてやるか。
二人の目を盗んでシエルに囁く。
「生殺しになってごめんな。今日か明日の夜来て満足させてやるから。それまで絶対に自分でするなよ?」
途端に表情を明るくし地面に落としたとんがり帽子を深くかぶるシエル。
「じゃあ、ちょっと取ってくるね?(焦らしプレイっ!たのしみだぁ)」
照れ隠しなんだろうけどにんまりした口元が隠しきれてないぞ。
ツンツンとつつかれる感覚に後ろを振り返るとノイが白衣を捲り上げ自らの腹を殴ろうとしていた。
咄嗟にその手を掴み静止させる。
「何してんだお前。痣残るぞ?」
「いたく…すれば……レン優しくしてくれる………なら少しだけ…いたいの我慢する」
「はぁ、別にそんなことしなくても甘えたいときは甘えてきていいんだぞ?」
ワシャワシャと乱暴にノイの髪を撫でる。
やっぱりこいつの髪サラサラだな。
「んぅ…もっと……」
丸く大きいスカイブルーの瞳を気持ちよさそうに細め下を向く。
ユナも羨ましそうな視線を向けている。
「ユナちょっとこっち来て目ぇ瞑れ」
言われるがままに近寄り目をつむるユナ。
こいつずいぶん従順になったよなぁ、魔物使いとして嬉しい限りだ。
ユナの顎をクイッと持ちあげるとあえて唇ではなく首筋にキスをする。
「ひゃぁ!ど、どこにやってんのよ!アンタねぇ毎回まいひゃぅっ」
ユナが何かを言おうとしたが両方の頬を引っ張り強制的に中断させる。
「別に嫌じゃないだろ?嫌ならこれからはもうしねぇけど……」
「っ、別に嫌じゃないけど…………その、恥ずかしいっていうかくすぐったいっていうか……」
「ならいいだろ」
「持ってきたよー!って、羨ましい!!私の頭も撫でてよっ!!」
シエルが飛びかかってくるが少し体を逸らし、ノイを抱き寄せユナを突き飛ばす。
目標を失ったシエルは床にダイブする。
「ほれ、早くよこせ」
「そんな急かさなくても…。まあハイこれ。使い方はいつもと一緒だから」
三角錐の形をした小さい塊を四つ手渡される。こいつこれ握りしめてたから手から血出てんじゃん。
角鋭いもんなこれ。
「シエル手ぇ見せろ」
「?手、何でまた?」
首をかしげつつ言われたとおりに右手を出すシエル。
「血出てんじゃねーか。少し動くなよ」
血の出ている個所に指を当る。ビクッと体を震わせるシエル。
はぁ、俺治癒魔法は苦手なんだがなぁ。
指を当てている個所をぽわぁっと光が包む。
「あぁ、ありがと。回復してくれるんだ」
「まあ、な。腹の奴も直してやるって言ってんだろ?」
「お腹のはいいの。レンからもらった愛の証だから」
「痣が愛の証ねぇ。俺にはどうもわからん」
「ま、ドSのレンには分からないかな。ってゆーかいつまでその子の頭撫でてるのさ、軽くよだれ垂らしてるよっ」
シエルに言われチラリとノイの方を見ると恍惚とした表情で口の端から涎を垂らしていた。
頭撫でただけでこうなるとかどういう事だよ。
「くふぅ……ぁふ…もっと………もっと」
「おーいノイ。だいじょぶか?」
「うぅぁ~………ぅうん…だいじょーぶ」
「そっか。んじゃもう行こうかな」
「え~!もう行っちゃうの?もう少しゆっくりしてきなよ」
「いや。今回のは準備が必要だからなごめん。それじゃな。ユナ、ノイ先行っててくれ」
「ぅ…りょーかい」
「はいはい、分かったわ」
二人がログハウスから出ていく。
「あの子たち追い払ってまでどうしたの?」
「これ渡しておきたくてな。ほれ、ミスリルのチェーンネックレス」
契約に必要なアイテムの一つ。ネックレスの派生型チェーンつまり鎖型のネックレス。
意味は『束縛』、鎖だからだな。
「ネックレス?もしかして……契約してくれるの?」
「おう。住む当てが見つかったからな。荷物まとめておけよ一週間後迎えに来るから」
「ありがとう。じゃあこれ付けて?」
「ん。ほらよ」
前から抱きつくようにしてシエルのうなじに手を回しネックレスを付ける。
うん。似合ってるな。
「んじゃ今度こそ俺行くわ」
「じゃあね」
「あっそれと」
スッとシエルに近寄り耳元で囁く。
「夜楽しみにしとけよ」
戻り際にほっぺたにキスをする。もともと頬が少し赤いのにさらに赤くなる。
「ばーいばいっとぉ」
さて、これでデュラハン戦の準備が完了したな。あとは墓場にこいつを仕掛けるだけか。
楽しみだな。確かに戦闘がきついけど初めてのデュラハン戦の時よりは楽だろ。
精霊召喚出来るし。
まぁ、そこそこにがんばりましょうかね。
この話に出てくる魔術師は
人ではなく
人に限りなく近い魔物です。
魔物です。
大事なことなので二回言いました。