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異常性の再確認と面識のない知り合い

------学校 教室


「うんうん、みんな戻ってきたね、先生はうれしいよぉ? 脱落者が一人もいなくてさぁ」


 そう言って戻ってきた三人と俺を眺める先生。

 戻ってきたっつっても、全員出て行った時のままじゃないだろう。俺は女物のローブ羽織って、馬鹿でかい剣を自分の席に立てかけながらだし、他の奴らだっておそらく同じだろう。

 まぁ、その中でも一番分かりやすいのはクレイだっけか? 上半身の衣類がゼロ、つまりは半裸。これがデフォルトだってんなら、俺を上回る変態だ。でも、そんな状態のクレイを見ても一切反応を示さない女子二人も大概だな。案外この学科の中じゃ俺が一番まともなんじゃないだろうか。


「そぉそぉ、全員そろったら次の予定を話すって言ったけどぉ、その前にこの科に集められた生徒の基準を教えちゃうねぇ? 前にやった自己紹介だけじゃ、仲間として信頼するには情報が足りないよねぇ? だからぁ、これはちょっとした認識の基準」


 そう言ってにやりとおそらくは年相応であろうにたりとした笑みを見せるアクラ。


「この科に集められた生徒はねぇ、全員成績優秀だけどぉ何かしらがずば抜けて問題視されている生徒たち、つまりはぁ問題児ってことだよぉ?」


 まぁ、予想はしてた。大体俺は魔物科の主席だけどそれはあくまでも実技、それも実戦に特化した物の分野だけ。座学の方を合わせると俺より優秀な奴だって何人かいる。その中で俺が選ばれたって事は何かあるだろうと思っちゃいたけど、そう言う事か。

 幾つもの素行不良とみなされるであろう今までの行動が頭の中を駆け巡る。


「ちなみにぃ、何が問題視されてたかっていうのは先生は教えてあげないよぉ? それぞれが自分で気づいてね? まぁ、まがいなりにも優秀な君たちだしぃ、何が問題か自分で分かってると思うけどぉ」


 アクラの言葉にそれぞれ何か思う所があったようで、反応を示す。


「はぁい、とりあえず先生が教えてあげるのはここまでぇ。詳しく知りたいなら当人同士で仲良くなってきいてみてねぇ? という訳で次回は君達が仲良くなる手助けをしちゃうよぉ?」


「ずいぶんと親切ですね先生。そんなに俺たちを仲良くさせたいんですか?」


「当たり前だよレン君? 君達には協力して魔王を討伐してもらうんだからぁ、仲良くないと困るでしょお?」


「で、先生、もう帰っていいのか? いつまでも上着なしじゃ俺も辛いんだが」


「おー? いきなり質問なんてクレイ君もなかなか意欲的だねぇ。質問の内容は別にしてもね。まぁ、帰ってもいいけど、もし帰る前に誰かから話しかけられたらしっかり答えるんだよぉ?」


 お、もう帰っていいのか。じゃとっとと帰るとしますかね。上着が無いクレイもあれだけど、俺もいつまでもこのローブ着てたくないし。


「それなら、俺はもう帰るんで、それじゃあまた」


「あ、レン君、次の登校がいつかはまた私が直々に連絡しに行くからねぇ。あんまりあの子たちと過激なことしてちゃダメだよぉ? 学生なんだからぁ、節度を守って、ね?」


「りょーかいっす」


 絶対に守るつもりは無い事を注意されてもこんな気の抜けた返事しか出ないだろう。

 大体過激な事ってどこから過激な事になるんだよ。まぁ、いつもやってる事はコミュニケーションの一環だから、過激じゃないだろ? となると、四肢断裂? 各種拷問? まぁ、それなら俺だってさすがに受け付けられないから、心配するまでも無いな。

 ただ、シエルやノイは不可抗力的にそうなるからノーカウントで。


「ぁ、ぁの……」


 先生との帰りの挨拶を済ませて、帰ろうとしていた所に声を掛けられる。

 無駄に小さい、蚊の鳴くような声。


「あ? あぁ、えっと、なんだ……ぁー……」


 誰だっけ? という顔をしていると、向こうから名乗ってくれた。


「グレーテル、です。レン君? でいいんだよね?」


「合ってるけど、何の用?」


「あ、あのね、ぼ、ボクの事……覚えてる、かなぁ?」


「あぁ?」


 覚えてるかな? 面識があんのか、俺、こいつと。

 一切記憶にねぇ。自己紹介の時に気になったのはシィナだけだったし、こいつの名前と容姿には何も気に留めなかった。

 いったいどこで会ってんだ? 正直、学校じゃなんか良い事した記憶よりも、恨みを買うような行動しかした記憶が無いから、報復って線が一番濃いか?


「覚えて、ない、よね……その、ぁ、あのね……」


 あ、これ絶対長くなるな。いい話にしろ、裏があるにしろ今は一刻も早く帰りたいんだ。なにか、何でもいい、さっと相手の意識をこの場に拘束出来て、俺は帰れる案は無いか?

 すこしの間思考を巡らせて、おそらく今の最善の手であろう案が思い浮かんだ。


「グレーテルか! 大丈夫、覚えてる覚えてる」


 まず、初めに相手の質問を肯定する。


「え! 本当に?」


 これによって相手の話を中断させて、さらに話の主導権を握る。


「当たり前だろ? 前はあんまり話せなかったからな」


 俺の記憶には無いけど向こうは覚えているのなら、おそらく、話した経験は無いだろう。ここに関しては賭けだ。

 まぁ、もし話した事があっても、そうだったか? でごまかせばいい。


「うん、お礼をしたかったし、いろいろ話たい事もあったんだけど、学科が違うし、性格も正反対だし、家の方向も真逆だし、最近忙しいみたいだったから、機会がなかったんだよね」


「そうか、残念だったな。……そうだ、コレ、グレーテルにやるよ」


 さっきの試験の剣士から剥ぎ取った剣を差し出す。たぶん結構質の良い剣なんだろう。名前は、忘れたけど、どっかで聞いた事ある名前だったし有名なんだろう。


「え、イイの? 本当に?」


「かまわねぇよ、そうだな……」


 さっきの発言を元に締めの言葉を考えて、逃げるための体制も整える。

 おそらくは、俺はこいつの事を助けた……のだろう。記憶にないから、俺の意思に関係なく結果的にそうなったパターンか。もしくはコイツの勘違いで俺じゃない誰かに助けられた記憶が、俺に助けられた記憶にすり替わっているんだろう。だからここは……


「信頼、いや親愛の印ってことで持っといてくれ。こいつがある限り俺はずっとお前の味方でいるよ」


 言葉を掛けて同時に、押し付ける様にして剣をグレーテルにパスする。

 だから、もし俺に助けられたとコイツが思っているのであればこう言っておけば勝手に俺の事を味方だと思ってくれるはず。それに何か裏があっても、剣を押し付けておけばそう簡単に身動きは取れないだろうし、疑いをもたれないためにも強硬手段には出ないだろう。

 まぁ、やはりというかなんというか、あのバカでかい剣を女子のグレーテルがすんなり受け止められる訳も無くよろめいた。


「じゃあ、俺用あるから帰るわ、じゃ、またな!」


 言葉を放ってすぐに教室を駆けだす。


「え? ま、まってぇぇぇ…………」


 尾を引くようにグレーテルの声が小さくなっていく。

 とっとと帰って家でいろいろやりたいし、そもそも『完全憑依』のせいで体力が限界近い。

 あぁ、くそ、人間関係に配下の諸々、俺自身の戦闘力強化、戦略的な詰めの甘さ、知識不足、課題が多すぎて嫌になってくる。そろそろ、おもいっきり癒されたいっていうか衝動の赴くままあんな事やそんな事がしたい。

登場人物が多いと文章力の無さが露呈しますよねぇ。

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