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袋の中身

今回は少しだけ流血表現が入ります。


苦手な方は覚悟を決めるか、ブラウザバックをお勧めします。


でも多分ライトな部類だと思うのでそこまでグロは無い……


と、思います

------洋館 一階隠し部屋


「こいつ、意外と重いなっ……」


担いでいた袋を椅子の上に降ろす。膝が把握しやすくて助かった。

あぁ~、肩が痛い。たくっ、結構重労働だぜコンチクショウ!!

これで中身男だったら、もう二度と人の顔を見るのが怖くなるくらいに恐怖を植え付けてやる。


「さてさて、御開帳?」


袋の口を開き、とりあえず肩口まで降ろす。

ベージュ色の少し荒れて痛んだ長い髪。浅黒い肌。目は隠されていて見えないがぱっと見小さく整った顔。なによりも人間とは違い長く少々尖った耳。

間違いねぇ。こいつはエルフの一種だな。


「んで、寝てやがんのか」


起こそう。

何をするにしても目的は情報を聞き出すことだ。こいつに意識が無くちゃ意味が無いだろう。


「おい。起きろ。おら、いつまでシカト決め込む気だ?」


反応が無い……か。寝ているのではなく気絶しているもしくは、昏睡状態?

口を無理に開いて何かしら刺激のある物を含ませるか?いや、もしこれが寝た振りなどだとしたら容易に手を入れていいものではないか。下手をすると指を噛みちぎられかねないしな。


「そういやこれ、もう、いらねぇな」


呟きながらただ布を何重かにして巻いてあるだけの目隠しを外す。

魔法の保護とか何にも無いじゃねーか。よくこんなので持ったな。

目には見た所細工は施してない……いや、まだ眼球調べて無いな。


「はい、じゃー今から強制的に瞼を開けさせまーす」


一人で何言ってんだろ俺……

軽く自己嫌悪に陥りながらも片手で頭を固定しもう一方の手で瞼に手を添え強制で開かせる。


「これは……」


紫色の瞳に緑の魔法陣が浮かび上がっている。

あぁ、自己催眠魔法か。他者睡眠魔法ではなさそうだし断言できるな。

つーか、捉えられて、監視下にあった中でこの魔法が出来るなんて相当な腕前だろ。


「見た感じ意識を完全に落とすっつー催眠か?となると……」


催眠の解き方とか覚えてねぇよ。

ここは戦闘陣使うか。

戦闘陣の支点となる四つの石を部屋の四つ角に置く。


「一回、ライフ削りきって気絶状態に持ち込んでからライフ回復させれば魔法の補正は切れる筈だから……」


俺とエルフの頭上に緑色の長方形のゲージ『ライフゲージ』と紫の『魔力ゲージ』そして小さい正方形の『メンタリティ・アイコン』が現れる。

まずは袋切るか。これがあると話になんねぇ。


「風の魔力を指先に集束、≪風よ 集まりて 刃となれ 『ウィンド・ブレイド』≫」


風魔法の初歩も初歩の魔法を発動させる。

効果は、魔力により風を作り出し、それを収束させ剣のようにする。

いくら魔力で作った風といってもやはり周りの空気の流れが激しいほど強力になる風魔法。

この閉鎖された空間じゃ、手刀の強化ぐらいが精一杯か。しかも魔力を指先に集束させてからじゃないと発動すらできないときた。まだまだ、不安定だな。


「さて、めんどい作業は一気に終わらせましょうかね」


魔法を付加した両手を振るい、袋を切り刻む。

服はボロボロの上着、肌着は無いっぽい。

下は同様にボロボロのハーフパンツ。下着を履いているのかいないのか、ここが重要だ。

なんつーか、魔王の使者にしちゃボロ過ぎねぇかな。

いや、これは装備とかが没収されたと考えるべきか。


「さて、全身が見えた所で、最初は~っと、腕折るか」


拘束具を外し、即座に椅子に縛りつける。逃げられても困るからな。

次に片手だけ外して、後ろに回って、腕を掴んで、背もたれに足を掛けて、踏ん張って、一気に腕を引く。

ゴッ、と嫌な音が反響する。これで肩が外れたかな?とりあえずもう片手にも同じことして、っと。

右手の後に左手も同様の手法で肩を外す。


「ライフは~っと……おっ、二割減ってる!んでも、やっぱりめんどくせぇな、直接的に急所斬るか」


腕とか折るのも普段あんまやんねーし新鮮で楽しいけど、やっぱり効率重視なら喉元斬りつけたりすんのが一番だよな。

でも『ウィンド・ブレイド』じゃ、攻撃力不足か。

あんま得意じゃねーけど物質変換するか。

幸い、学校に持ってたまんまの装備だからポーチ完全装備、道具には事欠かない。

確か、三番ポーチに重たいモンは詰めてたはずだ……おっ、あったあった鉄鉱石。小さいけど確かに鉄鉱石。


「≪世の理 神の意に反し 組み換えろ 『マテリアル・リクリエイション』≫」


手に持った鉱石が光り、形を変えてゆく。

光がやまないうちにもう一つ手に加える。

ふたたび、光が弱まってきた所でさらに一つ追加する。

光が完全に止み、手に出来たのは決して形の整っているとは言えない歪な形をしたグラディウス。

鉱石(小)じゃ三つ合わせてもこんくらいの大きさか。


「はいっ、じゃーまずは喉、喉から行きましょうか!!」


なんか無駄にテンション高いなぁ今日。

自分のテンションの上がり下がりに納得がいかないがとりあえず喉にグラディウスを突き刺す。

肉を切る独特の感覚の後、ゴッと何か硬い物に当たる。骨、だな。


「口に血がたまるのもあれだしね、開いて出してあげよう」


口の端から血が一筋流れているので顎をもち、下へ引く。

ドロっと血が出て、顎が赤く染まる。

黒い肌って意外と純色映えるんだな。


「そして、ここで引き抜くと……」


グラディウスを、ゆっくりでは無く、素早く引く。

グラディウスによってせき止められていた血が一気に噴き出る。

無論、真っ正面に居る俺にもかかったわけだが。ムダに温かいな。気持ち悪い。


「次は、心臓。この標的胸が小さいからな、まさにまな板っ!」


茶化しながらグラディウスを突き立てる。

が、途中で何かに阻まれ先に行かない。肋骨か。

こうなること分かってれば厚みをもっと無くして長くしたんだけどなぁ。

いいや、殴って肋骨ごと突き破ろう。


「はぁっ!!」


手に魔力を付加し、全力で柄を殴りつける。

ゴグッ!っと音がしてグラディウスは持ち手の半分ぐらいまで埋まった。

肉と剣の境目から血が流れ出ているが気にしない。むしろこのままにしとかないと床の掃除が大変だ。

いや、でも回復させるときにライフマックスで心臓に剣が刺さってるって違和感だらけだな。


「はぁ、あとあと面倒だけど、抜くしかねェか。いや、めんどい。消滅させよう」


消滅魔法は俺には使えないっていうか使えるのはごく一部の一族だけだからな。

俺は無難に平民らしく分解魔法でいいか。慣れてるしな詠唱なしで出来るのも嬉しい。


「『マテリアル・リベレイション』」


グラディウスは一瞬強く光るとその場から無くなった。

分解魔法の初歩完全分解。別名、物質解放。

手にはグラディウスの残骸である砂鉄が握られている。

意外にも血は傷口から流れ出る程度で床は汚れなかった。


「そういやライフ確認忘れてたわ。えっと現在のライフは?あ、もう0か。まぁ首かっ捌いて、心臓抉ったら当たり前だな」


さて、次はライフ回復だ。まずは外傷の見た目を完全になくしてくれる『ユニヴァー・キュア』をして、そのあとライフ回復で『フル・ヒール』でいいか。

時間掛かるなぁ。回復の魔法はほとんど練習してないからな、苦手だ。

はぁ、まず『ユニヴァー・キュア』から。


「≪銀の聖印 金の福音 集いて唱和し 彼の者の傷を癒したまえ 『ユニヴァー・キュア』≫」


突き出した右手から銀と金の線が出現しエルフの周りを飛び回る。

銀が通った後に金が通ると切れていた肌でさえ、どこを切断されていたのかなんてわからないぐらい綺麗に治る。


「≪無くした物を 再びここに 失いし物を現出させ 空虚なる器を満たせ 『フル・ヒール』≫」


ライフゲージが一気に右端から左端まで緑に染まる。

瞬間少し、エルフの体が揺れた。


「『マジック・ドレイン』。さてこれでお前は魔法を使えない」


エルフの体から紅の魔力が発せられ、それが体に入ってくる。

エルフなのに紅、かなり熟練した炎の魔力?


「…………」


「聞いてんのか?」


「…………」


「たぬき寝入りはやめておけ。殺すぞ」


「…………」


今、本当に微かではあるが少し呼吸が乱れた。

動揺してるな。こいつ本当に魔王の使者か?

いや、要は使いっぱしり。下っ端っつーことか。

多少、自分が今重要な局面に居るってことは把握してるっぽいけどいかんせん未熟だな。


「俺の頭の上にゲージが見えるだろ?この緑色のがライフゲージ。勿論お前にもあるつーか視界の端に見えてるだろ?」


「…………」


「はぁ……。要はこれはお前の体力を目視化したものだ。つまり、これが0になるとお前は死ぬ」


「…………」


本当は死なないけどな。戦闘陣の中じゃどうあがいても殺すことはできない。気絶、行って失神ぐらいだ。

だからこそ魔物使いは意外と重宝してる。どんだけやり過ぎても死ぬことは無いんだから。

兵士の訓練とかにも使われるらしいな。訓練っつーか懲罰らしいが。


「じゃ、それが分かった所で……どーん!!」


加速魔法で強化した足で前蹴りを放つ。

胸板に当たったか。感触としては二、三本骨折ったか?

ゴロンと転がり血を吐きながらも毅然とした視線を向けてくる。


「ちっ、目線だけじゃ反応がつまんねーんだよ。はぁ、何か喋れよっ!」


胸板をさらに蹴りつける。

もう一発、さらにもう一発、もう一発もう一発……と蹴りを繰り返し部屋の隅に来た所で止める。


「ズタボロだなぁ。きったねぇ」


「…………」


「もうライフを気にしてる余裕もないのか?お前のライフ残り二割切ってるんだぞ?」


「…………」


「そっか、ここまでしても反応なしか…………じゃ、死ね」


四番ポーチに入っていた、鉱石採取用の鋭くとがったナイフを二本取り出し一本を肩に突き刺す。

一瞬顔を苦痛にゆがめたが、また元の澄まし顔になった。


「お前のライフはこのもう一本のナイフを刺せば尽きる」


「…………」


「死んでも本望って顔だな。じゃ、バイバイ」


眉間寸前までナイフを突き出し、エルフが目を閉じた所で小声でつぶやく。


「『クラック』」


すると、ぷつんと糸の切れた操り人形のように筋肉の硬直が緩んだ。

強制気絶魔法『クラック』、ルルが便利って言ってたから覚えたけど初めて使ったぜ。


「あっ、あれ試そう」


二番ポーチ、普段使っているポーチを開き、今日の帰り道露店で買った呪符という物を取り出す。

なんでも、耳に貼り付けると貼り付けた相手が最も精神的にクルような言葉を延々と剥がれるか剥がされるまで吐き続けるそうだ。ちなみに事前に設定すればある程度の言葉は絞れるらしい。


「両耳に貼り付けて、っと」


片方は設定なし、もう片方は、不特定多数の人間からの侮辱、嘲笑等々。

これで設定良しと。本来二つだと精神の弱い人間なら二分で泣きじゃくり、他人に怯えるような状態に陥るらしい。めんどいし、あと二日もある。今日はこのまま放置しよう。


「じゃ、また明日、って聞こえねぇか」


あぁ~、つっかれた。

今日はもう飯も食わずに寝よう。

こういう日はシエルを抱き枕にするのが一番だな。

そんで添い寝って事にしときゃあ、シエルに構うのは向こう三日間ほぼ無くても行けるだろう。

まぁ、しとくもなにも実際に添い寝だからな。何も嘘は言ってない。

さて、ここ出て、着替えて、シエル抱えて寝よう寝よう!!俺は絶対に意地でもこの予定を崩さない!!

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