その2
音楽室に向かっていると前に久志が歩いていた。久志は180以上あるので、でかくで目立つ。
「ひさし~」
気付いたようだ。
「おう」
話しながら一緒に行く事にするけど、久志は無口なので、オレが一方的に喋る事になる。
「ケイゴ帰ったらしい」
「そうか」
「まあ昼休みの事があるからしょうがないけど」
「そうだな」
「明日サボった制裁をしようかと思う」
「……」(黙って頷いている)
「……」
ひさしは悪いやつじゃないんだが、話すならケイゴが居ないと辛い。
まあ気を取り直して黙って歩く事にする。沈黙が気まずくならないのは、久志の凄い所だと思う。
そうこうしていると音楽室に着いた。
「つるちゃ~ん」
と呼びつつそのまま勝手に部室(音楽準備室)に入る。
ソファーに座っていた、つるちゃんが怠そうに言った。
「おう、来たか。ケイゴは帰ったぞ」
やっぱり帰っていたか、結局オレが決める事になりそうだけど、久志の方を見ながら言う。
「今日はどうする?」
「俊介に任せる」
予想通り! ボーカル&ギターで次の曲作りの担当のケイゴが居ないと始まらない。
オレは叫ぶ!!
「今日は休みだ~こんちきしょ~」
俺たちは帰る事にした。
久志はバイトを早めにでるからと先に帰った。
オレは明日どうケイゴをいじめるか、つるちゃんと打ち合わせしてから帰る。
ふ、明日が楽しみだ。