その14
オレたちは家から出た。外は真っ暗だ。
心配そうに金城が言う。
「これから何処行くの?」
「あ~ここに来る時気付いたんだけど、家近そうだからケイゴのとこに行く」
言った後思う。ヤバい禁句だったか?
「そっか」
予想外に金城は笑顔で言った。気にしてないのか?
「じゃオレ行くね。明日学校行くかわからんけど、またあした」
金城も可笑しそうに言う。
「そうだね。私も行くかわかんないけど、また明日ね。なんか駅のベンチでまた会いそうな会話だよ」
オレから言い出した事だけどそれは少し嫌だな……。
「なあ、明日放課後でも良いから学校来いよ。オレも行くから、今日オレに言った事ケイゴと黒川に言えよ」
「でも……」
「オレに言えたんなら、あいつらにも言えるって」
「……」
「学校におまえ居ないとつまんね~よ。一緒に居てくれるんじゃなかったのかよ」
「うん」
金城はそう言って泣き出してしまった。言い過ぎたか??
オレが心配していると、涙声で金城が言った。
「うれし泣きだから心配しないで」
少しほっとする。
「放課後までには必ず行くよ」
「りょうかい。待ってる」
「じゃまたな」
「また明日ね」
「あ、放課後は部室な」
「わかってるって」
オレはケイゴの家に向かって歩き出した。
少し歩いた後、何となく振り向いてみた。金城が家の前にまだ立っていた。何処かの旅館の女将ですか。
なんだかな~金城はオレが曲がり角で見えなくなるまで立っていた。
曲がる前に手を振った。見えたかな?
今日はめっちゃ疲れたな~。明日どうするか考えて歩いていたら、予想してたより早くケイゴの家に着いた。
今日の事どうケイゴに説明しよ~……そっち先に考えるべきだったか!! あ~もうどうにでもなれ、オレはケイゴの家の呼鈴を鳴らした。
<完>
おまけ。次の日の放課後。
「ごめん遅くなった」
「いや、良いよ。じゃ行こうか?」
「う、うん」
金城は凄く不安そうにしている。
「怖い? 大丈夫だって」
「そうかな?」
「今日俺も怖かったけど、大丈夫だったよ」
「そっか」
金城はそう言ったきり、動こうとしない。オレは金城の手を握り強引に歩き出した。
「わ! ちょっと」
「いいから行くぞ」
「うん」
オレは部室のドアを開けた。