その10
目の前に立っている金城は私服だった。
「何でいるの?」
「それはこっちのセリフだよ」
「金城の家この辺なの?」
「違うけど、原君も違うよね」
「サボりか?」
「原君も?」
オレは笑いながら言う。
「仲間発見だな」
「そうだね」
同意の声に力がない。
金城は、昨日学校休んでたと思う。今日も休んだのか?
何だか元気が無さげだ。
「顔色悪いけど大丈夫?」
逆に心配されてしまった。
「まあまあ」
どう言えば良いだ? 金城と工藤は友達っぽいしな~。
駅の方を見ながら少しそわそわしながら金城が言った。
「私は家に帰るんだけど」
「あ、そうなんだ。さっきも言ったけど家どこなの?」
「高校の近くだよ結構、だから隣の駅で降りるよ」
もうすぐ下校時間なのか?まだクラスのやつとは会いたくないのかな。
あれ? 何でオレに声かけたんだ??
「オレも一緒に帰っていい?」
オレは今一人でいるのがいやだった。
「え、いいよ」
金城は少し驚いているようだ。ちゃんと話をしたの今日が初めてだと思う。そりゃビックリするよな。
オレたちは一緒に電車へ乗ることにした。
電車の中では、何を話していいのかわからず2人で黙って座っていた。
でもすぐに金城が降りる駅に着く、オレも使っている高校の近くの駅だ。
「原君じゃあ私降りるから」
そう言うとホームに降りて行く。オレも金城についてホームを降りる。
「え! 何で降りてんの? あ~あ~」
電車のドアが閉まって発車してしまった。
「原君の家ってもっと先立ったと思うんだけど違った? どうすんのよ!!」
「……」
どう答えようか……。
「どうしたの? あ、高校に用あるとか?」
なかなか良い予想だね。でも高校は行くのはさすがに無理だよ。
「一人になりたくなかったもので」
オレの予想外の行動について、う~と理由を考えている金城の姿が可愛くいて……つい、さらっと本音を言ってしまった。
「うぁ。意外だ」
「は?」
「原君でもそういう事言うんだ」
「……」
金城が嬉しそう言う。
「しょうがないな~おねいさんが一緒にいてあげるよ」
何となく腹立つ、けど反論する元気がない。
「じゃあよろしく」
「うぁ~凄いよ」
「え? 何が凄いの?」
「何でもない。ホームにいてもしょうがないからまずは駅出よう」
話そらしたのバレバレだから、なに照れてんだか。
オレは先に歩き出した金城を追いかけるように歩き出した。