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作者: 芋姫

「・・・この選手、よかったのにね。」


オリンピックシーズン。テレビでとある競技を見ながら娘がつぶやいた。


私もああ、たしかに。と思う。しかし、当の選手は惜しくも4位に終わりメダルには届かなかった。


今見ていたのは採点競技である。決勝戦で3位からは誰がメダルを取ってもおかしくないレベルの選手が何人かいた。その中でもとりわけ表彰台に近いと思われたのが私と娘が注目していた選手である。


私は洗濯物を横でたたみながら言う。「たしかにね。でもいくら採点競技とはいえ、プロが見ないとわからない技術の差があるんじゃない?」


「う~ん。」とずっと応援して来た娘は何だか納得いかない様子である。

まあ、実を言うと私もなんだが。



それから数年経ったある日の事だった。


法律が改定され、これによりスポーツ界に激震が走った。


政府が『4位”にもメダルを進呈する』、という史上初の法律のようなものを創ったのである。


世の中はざわついた。 さっそく法律改定後のオリンピックからそれは施行され、選手にとって表彰台はこれまで以上に近くなった。


が。


あるオリンピックイヤー。


4位の表彰台に上がる選手の顔は浮かなかった・・・。それは観客にも容易に理解できることであった。


・・・だってさあ。3位の表彰台のすぐ横に取ってつけたような不格好な台。


そして、当のメダルは「金」「銀」「銅」ときて・・・・・・



”プラスチック” ・・・・・・・って。・・・どうにも安物感が否めない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


・・・・もう5位でいいんだけど。メダルとかマジでいらないんだけど。


○○選手、無理して表彰台とか狙わなくていいから!


そんな声すら聞こえてきそうである。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それからさらに数十年後のことである。


それが功を奏したのかはわからないが・・・


”絶対に3位に食い込め” ”4位はなんとしても避けろ” ”中途半端な成績を残すんじゃないぞ”



我が国のスポーツ界全体のレベルが飛躍的に上がったのである。




















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