旅立ち
アルナ村、ここは自然と人間が共存している理想のような村。
「ロイ早く起きな〜」
ロイ、もといロイ・モンクはベットの上で親の声に苛つきつつも、むくりと起き出かける支度を始めた。
「はい、朝食食べて早く行きな!」
「はいはい」
「はい、は一回でいいんだよ!」
耳が爆発するのではないか?そのぐらいの大声で眠気も吹っ飛んだ。
「おはようございまーす」
畑仕事に行く途中にいるおじいちゃんやおばあちゃん、追いかけっこしている子どもたちに挨拶しつつも足早に向かった。
「遅ぇじゃねえかルイ」
先に畑仕事に来ていたじいちゃんが怒鳴る。まったく今日だけでもう二回目か、、、
「すんません寝坊しちって」
「まったく、早く手伝え」
呆れた顔を見せつつもすぐに土を耕し始める。こちらを見ないで話し始める。
「そういやぁ、召喚?された勇者って言われてるやつこの村に来るんだってよ」
「え?マジで?ついに来てくれるのかぁ」
思わずニヤニヤしていると「手ぇ動かせ!」、、、また怒られた
勇者と呼ばれる人、ヤマザキと言うらしい。彼のお陰で学校と呼ばれる勉強を受けれるところができて王国に働きに行ける子どもも増えた。私の憧れだ。
太陽が落ち始めてきた頃村の中央から人の歓声が聞こえ始めた。ついに来てくれたのだ勇者が。
「…見てこい」
こっちの気持ちを察してか、じいちゃんが声をかけてくれた。
「ありがとう、行ってきます!」
おう、一言話して作業に戻ったじいちゃんを横目に走って向かった。
勇者がくるというだけでこの活気、いつもはあまり見ない人も家から出ている。
そして、勇者が現れた。
青色の胸当て、赤色の額当てを身に着け、腰には代々王様が即位するときに使われる伝説の剣。
それらはガシャンガシャン、と重い音を立てていた。
憧れの勇者、嬉しい以外ない。
夜家に帰ってきたじいちゃんに言った。
「俺、勇者みたいに旅がしたい!」
じいちゃんはぽかんと口を開けている、そして、笑い出した。
「はははは!ついにお前もこの村から出てみたくなったんか。ふふ、行って来いわしは止めん。」
逆にこっちがぽかんとする番だ。怒るとだけ思っていたが、良いって言うとは。
「母ちゃんには伝えといてやる明日の朝にでも行ってこい」
夜明け、太陽が顔を出し始めた頃私はたびに出る用意をして家を出た。
母は涙を目に浮かべながら「寂しくなったら帰ってくるのよ」と言われた。
憧れを胸に秘めて一歩踏み出した。
初めての作品です。厳しい言葉でもいいので意見もらえるとありがたいです。