紙飛行機で大冒険
巨人のギガは、小人のナーナと仲良しです。
ある日、ギガとナーナは異世界から転生してきたという男に紙飛行機というものを教わりました。
これは面白そう、と思ったギガとナーナはそれぞれ長方形の紙をお庭に持ってきて、思い思いに折りはじめました。
紙飛行機が出来上がり、ふたりとも「できた!」と嬉しそうです。大事な大事な、それぞれの紙飛行機を見せ合いっこして、褒め合いっこをしました。
「ナーナの紙飛行機はちいさいなあ、おらには絶対に折れないぞ」
「ギガの紙飛行機はおおきいわ、私には絶対に折れないわ」
ナーナはギガの紙飛行機をなんとか動かそうと、ひっぱってみます。しかし、びくともしません。
ギガは嘆きます。
「ナーナの紙飛行機は小さくて、壊しそうで持てないなあ。よく見てみたいのに」
「息を吹きかけてみたら、良いんじゃなあい?」
それで、ギガはフーッと息を吹きかけてみました。すると。ギガの息で、小さな紙飛行機も大きな紙飛行機も、ぴゅーっと飛んでいってしまいました。たいへん! 大きな紙飛行機には、ナーナが捕まっています!
「ナーナ!」
ギガは大慌てで、紙飛行機のあとを追いかけました。
ギガの紙飛行機は、少し行った先の花畑に落ちていました。ナーナは目を白黒させていますが、無事のようです。
ナーナを見つけて、ギガはおーいおいおいと大泣きです。ナーナはギガの涙を避けるのですが、地面に落ちて跳ね返った雫だけで、服が濡れてしまいます。
「もう、ギガったら泣き虫ね!」
「ナーナが無事で、よかったよお」
「ねえ、ギガ、私、こんなふうに空を飛んだのってはじめてだったわ! すっごく素敵な大冒険だったの」
ナーナは目をきらきらさせて、ギガの顔を見上げます。
「あなたの紙飛行機って、最高だったわ!
だからもう、泣き止んで!」
「でも、ナーナの大事な紙飛行機が見つからない」
ギガはまた、おーいおいおいと泣いています。ナーナはあたりをきょろきょろと見回しました。
「また作ればいいの……あっ、ギガ、みて!」
ナーナの指の先、大きな紙飛行機の隙間に、小さな紙飛行機がありました。
ふたりは大喜び。ナーナは小さな紙飛行機を持ちます。ギガは大きな紙飛行機を持ち、いつものようにナーナを肩に乗せようとしました。すると、ギガの目にもナーナの紙飛行機がよく見えました。
ふたりはとっても嬉しくて、ニコニコと顔を見合わせました。