ビフロンズ
次の作品に感動して、書きました。
イラスト:『rkgk』 https://www.pixiv.net/artworks/68267664
『墓碑少女』 https://www.pixiv.net/artworks/63227924
『無題』 https://www.pixiv.net/artworks/64282842
『私と来る?』 https://www.pixiv.net/artworks/83676277
『無題2』 https://www.pixiv.net/artworks/77394838
『Rosa thuringica』 https://www.pixiv.net/artworks/2669309
『夜の庭園のレミリア』 https://www.pixiv.net/artworks/80982349
『私の世界へようこそ』 https://www.pixiv.net/artworks/92462192
素敵な刺激を与えてくれる、文化的作品に感謝します。
目の前に悪魔が現れた時、
私は迂闊にもぼんやりとしていた。
……いかんいかん。
魔導師として、あってはならないことだ。
召喚儀式は術者の精神にも影響を及ぼし、
意識を遠のかせることがある。
これは、相手によっては命取りになる。
悪魔の召喚は、極めて危険な行為なのだ。
魔王は儚げな印象のある、
愛らしい少女の姿をとっていた。
『私の名前はビフロンズ……ああ、
ご存知ですのね? 嬉しいわ』
私は心の中にある、願いの言葉を口にした。
すると彼女も、喜んだ。
『死別した恋人と再会したい?
良かった、相手の方もそれをお望みです!』
私はすぐにそれを実行するよう命じたが、
返ってきたのは意外な言葉だった。
『ご免なさい、初めに申し上げませんでしたね。
呼び出されたのは、貴方のほうなんですよ……』
そのとき漸く私の脳裏に、
最後の召喚儀式に失敗した時の、
恐ろしい記憶が蘇えってきた。
悪魔召喚は、極めて危険な行為なのだ……。
改めてその思いを噛みしめながらも、
私は素直に、差し出された彼女の手をとった。
ビフロンズ:
ソロモン王が使役した、72大悪魔の中の一柱。
占星術、幾何学、鉱物学、薬草学に詳しく、
降霊術や死びと遣いの能力がある。