2.彼はまるで仏の様に
ある日、1人の男性が万引き万引き犯としてスーパーの裏の事務所に連れてかれてきた。万引きの対応は若い人が良いと半強制的に店長から命名を受けた。正直万引きの対応は骨が折れる。みんなあまりやりたく無い仕事だった。そんな事を思いながら私は事務所に入った。その男性は暴れることも無くただ天命を受け入れるかのように大人しく座っていた。無精髭が生えてぱっと見だ感じは明らかに40を超えていそうだったが、なぜか私とそこまで歳が離れているとは思わなく、どちらかと言うとどこかで会ったことのあるような親近感すら湧いていた。そして彼を卑下するつもりもなく、ただなんでこんな事をしたのだろう、心の外からそう思えた。不思議だった。
「いつものこのスーパーの万引きの対応は初見の人だった場合、未成年と高齢者の人は、警察には引き渡さず保護者に引き渡すこととなっている。というのもあまり波風立てずに穏便に事を済ませたいからだ。ただ未成年と高齢者以外の人は即警察に引き渡す」そう店長が説明したのにも関わらず彼は静かに佇んでいた。やはりこの男とは何処かで会ったことがある、そう不確かな確信していた。