実地見学編7.5話
前の投稿から時間が空きましたが、前の話覚えてなくてもそう困らないと思いますので、ご安心を!
月曜日にあたる、二雀の放課後。
ケントーニハンター学院の5年生担当教員が、会議室に集められた。
校長・副校長・教頭・5年生担当教員が集まっての、職員会議──議題は、Aクラス担任のレイウェル・マチェスから告げられた。
「決戦龍虎が複数体目撃されたという情報が入っています。ですから、今週末からの実地見学は見送るべきかと」
室内がざわつき、しばらくすると、異議なしという声が上がり始めた。
その中で、彼──否、彼女と校長、ゲン・スフォードはしずかにアイコンタクトをとった。
「校長。かなり危険な状況です。討伐隊も編成されるでしょうし、ここは──」
ゲンは手に持った杖をひとつ打ち鳴らし、言葉の先を制した。
「マチェス先生の相談を受け、今日、先生方に声をかけたのは僕だ。だけど僕が言いたいのは、実地見学を取りやめるか──それとも決行するか。そんなことじゃないんだ」
手ぶりを加えつつ話すゲンに、怪訝な視線が注がれる。
「まず、討伐隊は編成されない──そこいらのハンターをかきあつめたところで、そのうち何人がヤツに太刀打ちできる実力を持ってる?」
沈黙で満たされた室内で、ゲンは毅然と続ける。
「討伐隊は編成されない──けど、これ以上ない対策がなされることになった」
教師陣の不安を嘲るかのように、ゲンは柔和な笑みを浮かべている。
「今年の5年生は運がいい……実戦経験には事欠かないだろう」
──実戦経験とは言っても、悪辣すぎるけどね。
ゲンの言葉に、ヴァニラは心中、苦笑した。
そして、Aクラス担任のレイウェルは、いまだ怪訝な目をしている。
◆
会議終了後、職員室にて。
ヴァニラの机に、レイウェルの怒気を孕んだ足音が迫る。
「マチェス先生……どうされました?」
「うぬぼれないでください、キラーリア先生……いや、ヴラド・キラメ・フォン・オッカーマン・イチカラーリア殿……!」
彼は憤りを隠さず、ヴァニラに言った。
「どういうことかしら?」
「あなたには、プロハンターの何倍もの力が、確かにあるのかもしれない……しかし、やはりあなた1人では!」
「私だけではないと、校長先生から説明があったでしょう?」
「それでも、あなたという存在抜きには考えられない処置だ!俺は正直、考えが甘いと思います!」
彼の言うことに、5年生担当教員のほとんどが、心中うなずいていた。
「確かに……そうかもしれませんわ。私がハンターだったのも遠い昔の話──今では一介のオカマに過ぎませんものね」
彼女の冗談に、レイウェルはただ辟易したのだった。
◆
職員会議が開かれていた頃、カイリ・スマトラたち第12班は、校門前に集まろうとしていた。
「スマトラ君、これってなんの集まり?」
Dクラス、遠距離支援担当のマイ・シオルが言った。
「なんのって、そりゃ12班だろ?」
カイリの答えに、Fクラス・ヒーラーのメィリ・リースールが難色を示す。
「はぐらかすな、ちゃんと答えて」
「えっと、つまりは──今からみんなで遊びに行きませんかってこと!」
カイリは自慢げに、そう言い放ったのだった。