表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
伝説のハンターがオカマだった件  作者: 原案:空星きらめ/作者:犬太
7/11

実地見学編 6話

実地見学編5話 あらすじ


とある休日、ヴァニラは目薬を買いに商店街へ向かう。

その商店街にて、彼女に近寄るある男──彼の持つ手紙には、サライマン国における法の最高機関、長老院の議員である、アノス・イチカラーリアの名が記されていた。




実地見学編5話までに登場した人物の紹介


◇ヴァニラ・キラーリア

本作の主人公。

赤と金のオッドアイと、銀の長髪をもつオカマ吸血鬼。

ケントーニハンター学院で、5年生担当の教師をしている。


◇アノス・イチカラーリア(名前のみ登場)

長老院議員。

ヴァニラに彼からの急報が届いた。

長老院議員だが吸血鬼なので、若い見た目をしている。


◇ルービエラ・イチカラーリア

ヴァニラが居候いそうろうする家の主。

吸血鬼の女性。

ヴァニラには、ベラという渾名あだなで呼ばれている。


◇カイリ・スマトラ

ケントーニハンター学院の、5年生Aクラス。

実地見学の行動班、第12班の中距離主力戦闘員を務める、16歳の少年。


◇ビシア・ビィシャ

5年生Gクラス。第12班では、博兵はくへいという役職を担っている。

Hクラスからの編入生で、23歳の女性。


サライマン随一ずいいちの商業都市、ワッセム県。

この県にある、商人の集う場所、商業館に隣接するのが、イチカラーリア邸だ。


ハンターの名門であり、政界にも数多あまたの人材を輩出している、イチカラーリア一族(いちぞく)の本家──その応接室にて、長老院議員のアノス・イチカラーリアは彼──否、彼女を待っていた。


「アノス様、そろそろです」


関係者用通路から、彼の使用人が伝えにやってきた。


それを聞いて、アノスの身体からだいささかの緊張が走る──間を置いて、客人用通路から靴音が迫るのが聞こえてくる。


そして、扉が開く──同時にアノスの緊張を破り去ったのは、目頭が熱くなるほどの懐古の念だった。


「久しぶりね、アノス。見た目は全然、変わりないみたいじゃない」


アノスは思わず、笑みをこぼす。


「そりゃそうですよ、吸血鬼なんですから」


「それで、相談って?」


「はい──」


空気は一転し、広い部屋に2人の声が重々しく響く。


決戦龍虎ケッセンリュウコが──?」


「はい、それも複数体、目撃されているそうで」


「そう──なぜそれを私に?」


「実地見学は、今週末から来週にかけてですよね?」


「ええ──でも、こういう時は討伐隊を編成するのが通例でしょ?」


「正直なところ、コストパフォーマンスの問題です。決戦龍虎ケッセンリュウコが複数体目撃されることは、異例中の異例。討伐隊を編成しても、何人のハンターが犠牲になるか……」


「なるほどね。諸費用はバカにならないだろうし……でも、生徒を巻き込むわけにはいかないわ」


「そこを案じる必要は無いでしょう?──貴方なら」


「……まぁ、やるだけやってみるわ」


「はい、どうかよろしくお願いします──今回のために、も用意しましたので」


「アンタ、そりゃまた、危ない橋を渡ったわね──そうやって、退路を絶とうってわけ?はっきり言って、キタナイわよ」


「僕も政治家ですから」


アノスは、ニコッと笑って見せた。


「──でも、決戦龍虎ケッセンリュウコの大量発生なんて……アンタらの首領ドン、なんか言ってなかった?」


「ゲルロイド議長ですか?いえ、何も……」


「そう……まあ、いいわ」


──あのクソジジィ、なにかたくらんでんじゃないでしょうね……



イチカラーリア邸を後にし、ヴァニラは噴水広場へ向かう。


あの後、アノスの些細ささいかつ浅ましい一言が起爆剤となり、ヴァニラが昔話に花を咲かせすぎたために、約束の時間を過ぎてしまった。


足早に向かう噴水の前に、そわそわと動き続ける女性が1人。昼時の香ばしさを引き連れた雑踏ざっとうの中、しきりにとがった耳をもてあそんでいる。


「ベラ!」


自分を呼んだ声の主を見て、彼女は顔をほころばせる。


「おまたせ。待った?」


「ううん、今来たとこです──ヴァニラちゃん、行きたいお店ありますか?」


「流行りの店があるの!そこに行きましょ♪ちょっと並ぶかもしれないけど……」


「かまいませんよ」


「昼食とったら、化粧品見に行きたいんだけど」


「はい、私もそう思ってました」



翌日──日曜日にあたるその日は、サライマンでは平日であり、国の人々は一爪イッソウと呼んでいる。

その日──ケントーニハンター学院5年生Aクラスの教室ホームルームにて。


「ビス!おはよう」


「おう、カイリ」


「なに、テンション低くない?」


「いや──今週末からだな、実地見学」


「ああ、そうだね」


カイリ・スマトラに「ビス」と呼ばれた少年──ビス・フアゲルラーリアは、何やら浮かない顔だ。


「どうした?」


「──張り合いがないと思ってな」


「なにが?」


「お前の班。お前に合ってなくないか?」


「そんなことないだろ」


「いや、そんなことあるぜ。俺と張り合えるのはおまえくらいなのに……班員の実力に差がありすぎる」


ビスの語調・表情から察するに、嫌味などではない。本心から残念がっているようだ。


「いや……ビィシャさんは成績優秀だし」


「ああ、Gクラスの。確かにそうかもしれないけど、博兵はくへいとしての実力は、モーリスの方が上だろ」


「──そう思うのも無理ないか。9班は1位だもんな」


「そんなの当然──おまえのいる12班が最下位ってのがおかしい」


カイリは内心、はらわたが煮えくり返る思いだった。

ビスの言葉は、配慮の足りないむき出しの本心だ。


だがカイリには、ビスがその本心でもって自分を挑発しているように思えた。

──そして実際、果たしてその通りなのだった。


「次は負けない……!」


「言ったな?その気で来いよ」


「──おう……!」


カイリは固く決意し、ビスの挑発に迷いなく乗ったのだった。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ